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君だけでいい


そのとき目の前に、本当にちょうど都合良く平凡で無害そうなメガネくんが通りかかった。

千載一遇のチャーンス!


「すみませーん」


怪しくみえないように笑顔全開で手を振って、少し高めな声で呼び掛ける。


「はい?」


メガネくんは、怪訝そうにしながらも立ち止まってくれた。


「1年の、葵 陽介か小田桐 哲史を呼んでほしいんですけど」

「葵…小田桐…」


名前を反芻したかと思うとその顔はみるみる青ざめていき、メガネくんは風のように走り去ってしまった。


「あっ!ちょ…」


ぽつんと取り残される俺。なんだよ、感じ悪っ!

あー失敗か…

でもあの反応。
もしかして2人共、結構名前が売れてたりするのかな?

あまり喜ばしいことではないのに、友達としてちょっと誇らしい気持ちになってしまった。





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あきゅろす。
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