君だけでいい
◇
夜中に寝惚けて無意識に解除したのか?
俺は今日創立記念日で学校が休みだし、百合子さんの朝食も昼に作れば余裕で間に合うけど、陽介は俺を起こさずに学校に行ったのだろうか?
いつも朝うちに来て開口一番「腹減った」だの昼は絶対に弁当じゃなきゃ嫌だ、なんてふてぶてしいくせに。
…とりあえず陽介にメールしてみた。
『ごめん。なんか寝坊した。朝飯どうした?』
「あ、やば」
そういえば今は授業中のはず…。
送信してから気がついてしまった。
が、間髪入れずに返事が来る。
『食ってない』
コイツはちゃんと勉強してるのか?
『昼はどうすんだ?』
『気が向いたら買う』
気が向かなかったら食わない気だろうか?
元々は食べることに興味の薄い奴だしなぁ。
――んー…どうするかな。
携帯の液晶画面の時刻を見て思案した。
これから作って、陽介の通う創成東校までチャリで約20分。
昼休みには余裕で間に合う。
どこの高校にも学食や購買はあるだろうが、今日は特に用事もないし食材余ってるし。
散歩ついでに行ってみるか…。
と、普段近寄ることもないヤンキー校にちょっぴり興味もあった俺は、早速弁当作りを開始したのだった。
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