君だけでいい
親?孝行
窓から射し込む直射日光の眩しさで、自然と目が覚めた。
「んーーっ…」
布団の中で思い切り伸びをして、いつも目覚まし時計代わりに枕元に置いている携帯電話を探った。
携帯のアラーム音で起こされないのは本当に久しぶりだ。
百合子さんは職業柄、深夜を過ぎて帰ってくるので、料理をしない主義だ。
うちの母も忙しいから滅多に作らなかったけど。
なので俺は母が旅立ってから、自分の朝食を作るついでに、お世話になっている百合子さんと、これまたついでに陽介の朝食・2人分の弁当を作るために毎日6:00に目覚まし設定している。
中学生くらいから料理を覚え始めて家の料理全般を引き受けてから、葵家の食事も作るようになった今日まで、これが毎日の日課になっているんだけど。
今日は珍しくアラームが鳴る前に目が覚めたんだろうか?
それにしてはやけに外が明るいような…。
「…あれっ」
目覚まし設定自体が解除されている。
――現在時刻、9:36
慌ててガバッと跳ね起きた。
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