君だけでいい
◇
陽介の身体が育ってシングルベッドに2人収まりきらなくなってから、俺はお客様用布団に追いやられるようになったんだよな。
まあ、大抵こいつが先に俺のベッドで寝ちゃってることが多いからなんだけど。
なんだか昔が懐かしくなって、身体を少しずらして横の温もりにぴったりくっついた。
「相変わらずだなー、コドモ体温」
「るせぇよ」
そして迷惑だろうけど眠れないついでに、ずっと心に引っ掛かっている事を口にした。
こんなの…陽介に言うのは筋違いかもしれないけど。
こいつにしか言えないことでもある。
「陽介」
「あー?」
「なんで仁志さんは…おまえに俺のこと頼んだのかな」
「知らねぇ。奴の考えは読めねぇよ」
――本当に。
いつだって何を考えてるかわからなくて、だからこそ目が離せなくて。
…どうしようもなく、強烈に惹かれていってしまった。
「あのさ、チーム争いが収まって…仁志さんがあの辺のトップに立ったら…」
「………」
その続きは継げなかった。
彼の足を思い切り引っ張って、突き放されてしまったのに…。
これじゃ、自惚れてるみたいだ。
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