君だけでいい
◇
意外なことにその報告を受けて、なぜか「陽介が泣くなんて!」と凄く驚いて喜んだ百合子さんは、怒るどころか、実は自分は家事・育児が苦手だと子供の俺相手に告白し、陽介の相手と世話を懇願してきた。
陽介はローラとからかわれるたびに、相手に立ち向かっていった。
出会った頃が嘘みたいに、顔を真っ赤にして怒って。
…見かけによらず、負けん気が強かったのだ。
でも標準より細っこくてチビなので逆にいじめ返され、追いかけられては俺の背中に逃げ込んできた。
自分で言うのもなんだけど、当時リーダー的存在だった俺は、産まれた時から友達でクラスもずっと同じの哲史と一緒に、相手にきっちり報復してやった。
「俺が守ってやるから。後ろにくっついてろよ」
一人っ子な俺はお兄ちゃん風を吹かせて、口癖みたいに偉そうに、よくそう言っていたものだった。
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