君だけでいい
◇
ほんと、妙になついてるなぁ…兄妹みたい。
すごく微笑ましい光景。
でも絨毯も敷いてない床の上で、薄い煎餅布団じゃ凄く固そうだ。
あれじゃ、身体を休められないだろうな…。
節約の為に、小さな錠剤を更に半分に割ってコップの水で流し込んだ。
それから一度部屋に戻って、俺の使ってた掛け布団をそっと掛けようとしたら…
「眠れねぇの?」
……起こしてしまった。
「うん…ちょっと」
「なんかあんなら言えよ」
陽介は上半身を起こして、薄闇の中の俺の様子を伺ってるみたいだった。
こいつが近くにいると、本当に心が落ち着く。
だから…その心遣いに、ちょっとだけ甘えてみていいだろうか?
「じゃあ、ちょっと我儘言っていい?」
「ああ。なに」
「…一緒に寝ない?」
「あぁ!!?」
「うわ!」
驚かせたのか、物凄く大きなリアクションをされて、こっちがびっくりしてしまった。
…そんなに嫌なのか?
「なんか心細くて…いや、やっぱいい!大丈夫」
「…………」
俺はこっそりショックを受けて、掛け布団を手に持ったまま部屋に戻った。
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