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君だけでいい



「ひどすぎる…買い物行かなきゃ。この辺スーパーとかある?」

「徒歩10分」

「おおーっ」


最高のロケーション!


「なに食べたい?」

「弁当か惣菜でいい」

「えっ?おまえ今までそんなもの……あっ」


そうだった、手が…。


浮わついていた俺の気分は現実に引き戻されて、一気に降下していった。


「…やっぱ米と豆腐の味噌汁と魚」


片手で調理できそうなものに訂正して、陽介はソファーから立ち上がった。
クロがニャッ、と不満の声を漏らして膝からごろんと転がる。


…俺の取り柄といったら、ピアノと料理くらいしかないのに。

そのどっちもまともに出来ないなんて。


「……ごめん」

「なんで謝んだよ」

「ほんとにごめん。負担かけちゃったのに…役に立たなくて」

「役に立つとか、んなもん期待してねぇよ」

「…………」


――駄目だ。

気を張ってないと、ふとした瞬間に卑屈な感情が襲いかかってくる。


気を引き締めようと息を大きく吸ったら、さっきクロにしたみたいに頭をわしっと掴まれた。





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あきゅろす。
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