君だけでいい
◇
子供というのは、正直で残酷だ。
俺と陽介は同じクラスになり(百合子さんが学校側に頼み込んだらしい)、初登校のホームルームの朝、またあのへんな笑顔で緊張気味に挨拶する陽介を指差して
「なー!こいつローラに似てるよな?」
大声を張り上げてしまった。
そして、ローラを観たことのあるクラスの大半の仲間達は、口々に同意した。
俺としては、陽介の緊張をほぐすのと早く皆に馴染んでもらうため、あくまで好意的にした事だったのに。
あろうことか、陽介は泣き出してしまった。
人形みたいな陽介が感情をさらけ出したのに、凄く驚いたのを今でも鮮明に覚えてる。
「ろ…ローラじゃ…ない…女の子じゃないー!うわあぁぁあん!」
クラスじゅうがどよめき、俺はその場で担任の先生に大目玉をくらった。
そしてその日から…というか初日にして、陽介のあだ名は「ローラ」になってしまった。
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