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君だけでいい



子供というのは、正直で残酷だ。

俺と陽介は同じクラスになり(百合子さんが学校側に頼み込んだらしい)、初登校のホームルームの朝、またあのへんな笑顔で緊張気味に挨拶する陽介を指差して


「なー!こいつローラに似てるよな?」


大声を張り上げてしまった。

そして、ローラを観たことのあるクラスの大半の仲間達は、口々に同意した。


俺としては、陽介の緊張をほぐすのと早く皆に馴染んでもらうため、あくまで好意的にした事だったのに。

あろうことか、陽介は泣き出してしまった。
人形みたいな陽介が感情をさらけ出したのに、凄く驚いたのを今でも鮮明に覚えてる。


「ろ…ローラじゃ…ない…女の子じゃないー!うわあぁぁあん!」


クラスじゅうがどよめき、俺はその場で担任の先生に大目玉をくらった。

そしてその日から…というか初日にして、陽介のあだ名は「ローラ」になってしまった。





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