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君だけでいい



「ありがと!まじ嬉しい!びっくりした」


感極まって、つい勢いで左手を回して抱きつくと、頭をヨシヨシされた。


…なんかいつもと逆?


それから改めて周りを見回すと、壁際に42インチの液晶TV、隅には円柱のインテリアライトと…ちょっと意外なキャットタワーがあった。


「ほんとにニャンコを可愛がってあげてるんだね…」

「べつに。なんつーか、なりゆき」


ちょっと照れてる陽介のその頭を今度は俺が撫でてやってから立ち上がり、引っ越したての高揚した気分で、あちこちドアを開けて見て回る。


「ここが風呂場…おっ、結構広い」

「で?こっちは…」


…陽介の部屋かな?

8畳ほどの部屋に、陽介の使ってたダブルベッドとオーディオセット。
部屋の殆どはその大きなベッドに占領されていた。

ウォークインクローゼットを開けると、段ボールがびっしりと詰め込まれている。

…こりゃ速攻で整頓しないと。


「って…あれっ?俺の部屋が無い」

「ねーよ」

「俺の寝る場所は?」


陽介は無言で寝室を指差した。


「おまえは?」

「予備の布団あるから」

「なんか悪くない?俺が布団でいいよ。慣れてるし」

「床固てーから、腕治るまでベッドに寝れば」

「じゃあ、ギプスとれるまでな。ありがと」


ちょっと悪いかなと思ったけど、好意をありがたく受けとっておくことにした。




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