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君だけでいい



「なんでこんな素敵マンションなんだよー!」

「消去法」


要は、自分のこだわりを追及した結果かっ!

…しかし、文句を言える立場ではない。


「幾らかかった?明日返す」

「いい。別にいらねー」

「は?よくないって!払うって!貯金あるから。足りなかったら…」

「うるせーな」


全く俺に取り合わず、陽介は煩わしそうに部屋の鍵を開ける。


すると廊下の奥から、すっかり綺麗になった大きな黒猫が小走りで玄関まで出迎えに来てくれた。


「わ。ローラ!」

「違う」

「へ?」


愛しくなって左手で抱き上げると、頭の上から不機嫌そうな声が降ってきた。


「そいつはクロだからな。…妙な名前つけやがって」


あっ、バレてた。
百合子さん経由だな…


「えー…でも」

「もうクロ以外反応しねぇぞ」


陽介がローラ…もといクロ?の頭を野球ボールみたいにわしっと掴むと、俺の手をすり抜けて陽介の足元に8の字を描いてまとわりついた。





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あきゅろす。
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