君だけでいい
◇
拒絶するのは、傷つきたくないから。
近付かないのは、嫌われたくないから。
「………」
「嫌なら喋んなくていいぞ。代わりに俺がいいもの聴かせてやるから、黙って見てな」
「…え?」
「なぁ陽介、どんな曲が好き?」
くるくるよく動く瞳と、迷いのない言葉。
暗闇の中の俺を、徐々に明るく照らし始めたもの。
その存在が暖かな光を、その指が奏でる音が、鮮やかな色彩を――
「俺が守ってやるから。後ろにくっついてろよ」
なんて頼もしい事言ってくれたけど…たまに抜けてて、怖いもの知らずで、いつだって目が離せないから。
決めたんだ、俺こそ守ってやろうって。
やり方はわからないけど、いつでも側にいて。
ずっと側にいて――
[*back][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!