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君だけでいい



そして――


「ああっ!」


俺の背中にのし掛かって、片足と手を使って右腕をガッチリ固定する。


「やめ…手だけはっ!」

「くっくっ…命乞いか?たまんねぇな」


心底愉快そうな笑い声。


「俺はな…この瞬間が一番…好きなんだよっ!」


腕を可動域と逆の方向にしならせたかと思うと、バキッ!と大きな音がして、経験したことのないような痛みが右腕に走った。


「ああああっ!」


――折れ…た……。


「ううっ…はぁ…はぁ…」


徐々に激しくなってくる痛みと熱が、右腕を襲ってくる。

意識すらもだんだん遠くなっていき、いっそ気絶してしまいたくても、それを許してはくれなかった。


「さーってと、そろそろ報告に行かねぇとな。これで俺もNo2だ」

「ううっ…」


河東は満足そうに俺から退いて、立ち上がった。


「おまえはもうちょいおとなしく寝てろよ?…といっても、動けねぇだろうけどな…ははははは!おい、ここ開けろ」


河東がガンガンと扉を蹴ると、外側からそれが開けられる。


そして電気が消され、真っ暗になった倉庫内にまで笑い声を響かせて、奴は消えた。


「う………」


怖い。痛い。悔しい。


――陽介…。


陽介…ごめん。

おまえが好きだったピアノ、もう聴かせてやれなくなっちゃったよ…。





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あきゅろす。
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