君だけでいい
◇
「了解」
「俺は奴らの溜まり場の港に向かう。小田桐、…葵。俺と来い」
「了解です!」
「……ああ」
そして仁志は平澤と本城、星に視線を向けて駆け出した。
「おまえらは、集まった奴らともう一つの溜まり場の店に向かえ!」
「おう」
「…わかった」
陽介は仁志の後について走りながら、後悔の念にかられていた。
「俺のせいだ……」
「だーから言ったっしょー。頭に血ぃ昇って突っ走るから!」
すかさず隣の哲司にたしなめられる。
「…どうしても抑えきれねぇんだ」
「やっぱおまえは駄目だねぇ、マサキちゃんがいないと」
哲史は呆れ顔で首を振った。
「そうだな」
マサキが側にいなければ、ただ生きていることすらできない。
…絶対に、この手に取り戻してみせる。
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