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君だけでいい



「ちっ、素早ぇな」


でも逃げてばかりはいられない。
倒さなきゃ…いけないんだ……。


厄介な警棒を蹴りで弾き飛ばして、相手の隙を見つけて渾身の攻撃を繰り出した。


――やった!


ハイキックが相手にクリーンヒットした。


「だが…それだけだ。期待外れだな」


精一杯の攻撃だったのに、河東はびくともしない。


「くっ…」


焦りと落胆を堪えて、また攻撃を避けながら蹴りを繰り出す。
当たりはするけど、上手く力が入らなくて殆ど効いてはいない。


「軽ぃんだ…よっ!」


疲労で動きが鈍くなってしまった身体に、河東の右の拳がめり込んだ。


「う……!!」


よれよれだった俺はいとも簡単に吹っ飛んで、床に転がってしまった。


もう…動けない。


息も出来ないほどの痛みを堪えるのと、胃の内容物を戻さないようにするだけで必死だ。


河東はそんな俺に近づき、頭の横で屈んだ。


「おいおまえ…なんで手を使わねぇ?」

「!!」


ヤバい…。


顔から一気に血の気が引いた。


「部活でもやってんのか?」


河東は狂気に満ちた目でにやにや笑いながら、俺をうつ伏せにして押さえつけた。




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あきゅろす。
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