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君だけでいい



「くっ…」


脇腹に走る痺れと痛みを手で押さえつつ、俺は打開策を必死に探した。

この状況は、非常にヤバい。
拉致なんかされて仁志さんの足手まといになるわけには……。


すると、ふと頭に陽介の言葉が浮かんだ。


『何かあったら、いつでも携帯に連絡しろよ』


そうだ、陽介に…!


俺は緊張に震える手で、ジーンズのポケットに入れたままの携帯を操作する。

見なくても、アドレスのどこに陽介の名前があるかは指が覚えていた。


「…………」


呼び出し音が鳴ってるかはわからないけど、これで多分…繋がっているはず。

祈るような気持ちで携帯をぎゅっと握りしめる。


「おーっと、連絡はとらせないぜ」

「あ!」


速攻で気づかれてしまった…。


隣にいた目付きの鋭い男は、ポケットから垂れていたストラップを掴んで携帯をスルッと取り出した。


「葵か…フッ。おまえ、奴に無茶苦茶やらせてるみたいだな」

「えっ?」


呼び出し画面に表示された陽介の名前を見て顔に下婢た笑いを浮かべ、そのまま携帯電話を窓から放り投げる。





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あきゅろす。
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