[携帯モード] [URL送信]

君だけでいい



「はあっ、はぁ…」


完全に物音が聞こえなくなって、振り返ると人の気配もなくなっていた。

細い私道を曲がって、壁にもたれて乱れた息を整える。


「はーヤバかった…」

「さすがだな、足も速い」

「!!」


すると突然、角から人影が現れて鋭い目と目が合った。


…一体どこから!?


と思うと次の瞬間、バチバチッ!と凄まじい音とともに左脇腹に痺れるような激痛が走る。


「あつっ!!スタン…ガン…?」


酷い熱さと痛みで、膝から崩れ落ちてしまった。


立ち上がれない…。


「悪ぃな、ハンデだ。葵の頭で仁志の片腕…油断ならねぇからな。くく…楽しみだなぁ」

「ち、ちが…」


そして動けなくなった俺は、誤解を解くこともできないまま乱暴に引きずられ、フルスモークの黒いバンに放り込まれてしまった。





[*back][next#]

6/33ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!