君だけでいい
終わりの始まり
「うーん…どうしよう」
自宅に自主監禁(?)状態になって2日目の朝、もう既に外出したい衝動に駆られた。
というのも、昨日突然引きこもれと言われたもんだから、家に食料の買い置きが無いのだ。
俺のなら幸いインスタントラーメン5食パックがあるけど、ローラの餌が。
あのときキャリーが重くて、家にいったん帰ってからまとめて猫砂の替えやらキャットフードを買いに行こうと思っていたもんだから、猫缶3コ入しか用意していなかった。
だけどこれがまた、ローラの食欲の凄いこと。
猫缶は昨夜で尽きてしまった。
「困ったなー…」
ローラが足元になーなー言ってまとわりつき、期待を込めたまんまるの目でご飯の催促をしてくる。
餌が欲しい時だけなついてくる現金さだけど、もう既にこの猫が可愛くてしょうがない。
さすがにお菓子やラーメンを与えるのはまずいだろうな…。
ていうか、そもそも食わないか。
そしてまたこんな時に限って、百合子さんは温泉旅行に行っているらしい。
…頼みの哲司も電話に出ないし。
「まだ昼前だし、大丈夫…かな?」
近くのコンビニにも猫缶くらいは置いてるだろう。
――たかだか往復15分足らず、大丈夫…だよな?
速攻買って、急いで帰れば……。
「よし、そうと決まれば膳は急げだ!」
…そうして俺は、安易な軽い気持ちで家の外に出てしまった。
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