[携帯モード] [URL送信]

君だけでいい


平澤は「葵は小田桐と一緒に幹部叩きに参加させろ」と提案し、哲史も陽介と行動を共にする事を懇願したが、仁志は意に介さなかった。

それどころか、他のメンツはグループ行動で、陽介は単独で動くようにと命令され、余力があれば幹部叩きにも参加させると言われている。


この過度ともいえる作戦で致命傷を負うか、あわよくば死んで欲しいとすら思われているのかもしれない。


しかし、それは都合の良いことだった。

集団行動は性に合わないし、いつ死んだって構わない。


それに…身体を動かしていれば、ほんの一瞬でも嫌な事を忘れていられる。


消すことの出来ない喪失感と虚無感、そしてやり場のない怒り――


「…クソッ」


それでも下らない祭りが終われば、それらはすぐさま頭に浮かんできてしまう。


「おい」


陽介は、まだ呻いてたり命乞いを続けているCHAOSのメンバーの一人に近づいて屈み、乱暴に前髪を掴んで顔を上げさせた。


[*back][next#]

2/33ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!