[携帯モード] [URL送信]

君だけでいい



……笑った、んだろうか?

泣きそうなのに口だけ引き上げる、みたいな器用な顔をしている。

それは妙にぎこちなくアンバランスで、せっかくの可愛い顔が台無しになってしまった。


「あらまぁ、しっかりしててお利口さんね。陽介ちゃん、女の子みたいに可愛いわぁ。ほら、マサキもご挨拶して」


母の言葉に、冷水を浴びせられたみたいなショックを受けた。


――陽介?女の子みたい…?
まさか男!?嘘だろ!


動揺しつつも、教科書を読むような棒読みで挨拶を返す。


「…天野 真希です。よろしくお願いします」

「もーマサキ!この子ったら無愛想で。ごめんなさいね」


女優さんはにっこり微笑んでしゃがみ、俺と同じ目線になった。


「いいのよ。ね、マサキちゃん。陽介、マサキちゃんと同じ学校に行くのよ。これからよろしくね。同じクラスになれるといいけど」


同じクラスって、まさか同い年!?
こんなに小さくてガリガリなのに!


「こんなところで立ち話もなんだから、よかったら上がっていって」

「いいんですかー?ようちゃん、ちょっとお邪魔させてもらっちゃおうか」


そして母と女優さんは居間に移動し、俺と陽介は防音室に押し込められた。





[*back][next#]

9/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!