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バジルが怒って人を殴ったことはない。そんなバジルは見たことがない。

「ねぇ、バジルってば」

ただ黙りこんじゃう事があるんだよね。本当に稀に。

「ユウ殿」

「何?」

バジルが急に話しかけてきた。私が話しかけてたんだけどなぁ。
「今の拙者達の関係って何だと思いますか?」

「関係?」

何だろう。でもここで「恋仲じゃーん」とか言って違ったらかなり恥ずかしいよね。穴に入りたいよ。穴も穴で墓穴。そのまま帰って来たくないよ。

「この前のは…」

「冗談だったの!?」

バジル酷い!!

「いえ、本気です。」

良かった。今かなりホッとした。
「イマイチ私たちって変わらないね。」

「………ですね」


まぁ仕方ないのかな。幼なじみだし。

「何が悪いのかなー」

引っ掛かってはいた。恋仲だったら手を繋いだりするんだろうけど。私たちが手を繋いでも親子みたいに何故かなってしまう。

「呼び方かなー」

「呼び方ですか?」

「合わせようか?バジルが殿って言うから…」

しばらく悩む。ハッと思いつく。
「バジル殿!!」

しばらく二人とも黙る。沈黙が辺りを支配した。

「違いますよねー」

こういう時は早めに引いとくに限る。
そりゃ私だって呼び捨てにして欲しいさ!!でも自分から言うことじゃなくね!?


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