ベタ惚れロマンチカ1
好きなのは愛妻弁当と愛妻
べた惚れロマンチカ
『よッ、遅くまでやってるなァ』
もう夕日も沈み掛けている時間帯、冷房の良く効いた会議室に残る人影を見付けて入ってみれば、そこにいたのは愛しの彼女
『あ、亮ちゃん。うん、折角の学祭だもん、成功させたいし』
『他の委員の人達どうしたんだよ』
月詠學園2年A組のナマエと2年B組、SGクラスの結崎。今年、ナマエは月詠の文化祭役員に進んで手を上げ、現在着々と作業に取り掛かっている
『みんな部活の出し物とかあるから、そっちに行っちゃった』
『それってナマエ、押し付けられてるじゃねーか』
元から気の良いナマエの事だ、きっと他の役員に仕事を押し付けられても笑顔で頷き引き受けたのだろう、と結崎は他の役員を恨んだ
『アタシ何も入ってないからなァ…亮ちゃんこそ、ダンスの練習大丈夫なの』
『俺は練習終わったし大丈夫。それより彼女手伝ってやんなきゃなッ』
役員のナマエとは違い、学外のダンスサークルに所属している結崎。本当は今日SGクラスの特訓もあったのだが、京羅樹や御神が来ていない事を良い事に、1時間早く抜け出して来たのだ。
『ありがと亮ちゃんッ』
てっきり励ましに来てくれただけだと思っていたナマエは予想外の結崎の行動に心から喜び、満面の笑みを浮かべた
『このプリントをホッチキスで止めるだけで良いんだな』
『うんッ、あ、でもちゃんと角合わせてね』
大量の書類、一人でやっていたら夜中まで掛かってしまいそうな量に、それを一人でやろうとしていたナマエはやはり人が良いのだ
『へーい』
結崎は軽く返事をすると、せめてナマエの作業が少なく済むように、と素早くプリントを纏め、ホッチキスで角を止め始めた。勿論、出来る限りのプリントの角を揃えて…
『ふゥ…やっと終わったねー』
『もう親指痛ェっ』
その甲斐あってか、作業は事の他速く進み、夕日が沈み薄暗くなり始めた頃には作業を終え、書類は一纏めにされていた
『本当にありがと亮ちゃん、帰りに何か食べて帰ろうか』
『何か食べに…』
ナマエが作業の邪魔にならないようにと束ねていた自分髪を解くと女性特有の甘い香りが結崎の鼻を掠め、一瞬結崎の思考が止まる
『うん、手伝ってくれたお礼に何か奢るよ』
『へェ…そりゃ良いな』
思考が停止したすぐ後、いつも以上に思考がフル回転し、結崎は意味深な笑みを浮かべると、荷物を整理するナマエにゆっくりと近付いて行った
『亮ちゃん何食べた……えッ…わ…』
『ナマエが食いたい』
隙を見せた途端、会議室の長机に押し倒され、真顔だが瞳の奥に好奇な光を燈した結崎が天井と共にナマエの視界へと入った
『へ…ちょ…何言って…』
『疲れた時は愛妻料理って言うだろッ』
何を言っているのかこの男は…。しかし当たり前に結崎の力に敵う訳もなく、長机と結崎に挟まれ、ナマエは身動きが出来ない状態にされてしまった
『何か意味違…んっ』
結崎の柔らかい髪がナマエの首筋に触れ、擽ったい感覚に思わず甘い声が漏れてしまう…
『味付けは俺に任しとけって…』
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