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Wingless‥(連載中)



 夢を見た。












 次の瞬間



 飛び起きた。





「うわっ」


 目の前には、エドワードの顔。
 突然、私が飛び起きた所為か、目を見開いて私を見つめていた。

 その金の瞳に私が映る。

「あ…、あのさ、飯、食える?」

 あのエドワードが、私に労りの言葉を掛けるとは。
 少し驚いた。

「ここは君の家かね?」

 エドワードの質問には答えず、自身が一番気になっている事を尋ねた。

「知ってると思うけど、この家にはアルと二人きりだし、気兼しなくて大丈夫だから…」

 何を勘違いしたのか、彼は言う。彼はこんなに思い遣りのある少年だっただろうか?

 自分のペースが乱れてしまう。

「君がそんなに優しいと気味が悪

 ばふっ!!

……………!」


「オレだってあんたの世話なんて願い下げだ!!」


 ――――!!


 エドワードの投げつけたクッションが私の顔面に直撃し―――


 不穏な空気が部屋に流れた。


 金の真っ直ぐで綺麗な、汚れを知らない瞳が、私を映している。





「兄さん、駄目じゃないか」

 兄の怒鳴り声を聞き付けて弟のアルフォンスが駆け付けて来た。


 その数分の間が、長く感じた。

「先生、大丈夫ですか?」

 アルフォンスは、ドアの所から動かず尋ねてきた。

「ばっちゃんが来てくれたから…ボク達は下に行ってよ。」


 アルフォンスの後ろから然程背丈の違わない小柄な老婆が顔を出した。


「ほら、邪魔だからさっさっと出ておいき」

 老婆はズンズンと部屋に入って来るとエドワードを摘み出した。


 兄弟が出ていくと、側にあった椅子をベッドの脇に持って来て、腰掛けた。


「私はいったい?」

「専門は外科だが、こんな小さな村だ。医者は私だけでね、何でも一通りは診れる。
さっさっと胸を出しな」

 言われた通りにシャツを捲り、胸を出した。

 ヒンヤリとした聴診器の感触が、熱のある身体には気持ちが良かった。





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