Wingless‥(連載中) よん ………ん? 私はいったい? 目覚めると、見慣れない真っ白な天井が視界を蓋っていた。 身体の向きを変えようとした途端、関節が軋んだ。 ぼたっと、鈍い音をたて、重く、私の熱を吸収して暖かくなったと思しき濡れタオルが、眼前へと落ちた。 どうやら風邪が悪化し、あのまま倒れてしまったらしい。 いったい此処は何所で、誰が私を運んだのだろう?? 同じ体勢で居るのが辛く、もう一度寝返りをしようと試みた。 ……………ん? この背中にあたる物は、いったい? 軋む身体に、鞭打つ様にゆっくりと反対側を向く。 「エドワード!?」 ………有り得ない!! これは、高熱が見せた幻だろうか? 「…!」 急に、エドワードに抱きつかれ、柄にも無く動揺した。 まさか、彼は起きているのか? 「エドワード?」 声を掛けたは良いが、相手の返事はなかった。 寝ているのか…。 「うぅ…、ん…」 寝言だろうか? 自分の胸にすっぽりと収まる、10歳の小さな少年の身体が、小さく震えている様だった。 「か…あさん………」 胸に、冷えた感覚を感じたが、そのまま彼を包んでいた。 この兄弟に、両親が居ない事は、聞かされていたが、2人があまりにも、明るかったので、……、いや、正直興味が無かった。 誰が、傷付いていようと、誰が、苦しんでいようと、自分には、関係ないこと。 自分には、意味の無いことだ。 私は───善人でもなく、人に深く関わるのは…、もう、やめた。 ………人体練成か……… 私も一時期、そんな事を考えていた。 毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日……‥‥‥・・・・・ そして、いつしか・・・諦めた。 ズキッと、胸が軋んだ・・・。 あんな想いは二度と、味わいたくはない。 身体がダルイ・・・・・・・・・。 もう、寝るとしようか・・・。 つまらない事を思い出してしまったな。 そういえば・・・、こんなに深い眠りに就くのは、いつ振りだろうか・・・・? 次へ→ [*前へ][次へ#] [戻る] |