Wingless‥(連載中)
に
「エルリック、キチンと私の話が聞けないなら授業を受けなくても良いのだよ?」
同じ長机に座ってなにやら話し合っていたエルリック兄弟は名を呼ばれ、同時に顔を上げた。
「「だって、簡単過ぎてつまんないんだもん」」
二人は同時に当たり前の事でも言うかの如く、自分達は悪くないとでも言いたげな口調で言い放つ。
…なんて可愛い気のない兄弟なんだ!
教台を降りると足早に後列に座っていたエルリック兄弟の机に向かう。
「あっ!なにすんだよ!!返せ!!」
私に二人で見ていたノートを取り上げられ、非難の声を上げるエドワード。
構わずパラパラとノートを捲り見る。
「…………!
これを…君達が書いたのか?」
そのノートには錬金術についての研究が、事細かに書かれていて…まだ稚拙な点も目立ったが、その内容は子供の域を越えていた。
しかも…この研究内容…。
バッ!
私の手からノートを取り戻したエドワードは、私を睨みつける。
「見んなっ」
一言、静かに威嚇すると、そのまま教室を出て行った。
「待ちなさい!」
「兄さん!待ってよ!」
その後を追うようにアルフォンスも教室を出た。
私は溜め息を洩らすと、ざわざわと騒がしくなった教室を落ち着かせ、途切れていた授業を再開させた。
しかし、当然授業に集中出来る訳もなく…私は先程のノートを思い出す。
―――あれは人体錬生の研究…
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