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Wingless‥(連載中)
いち


 夏が終わり―――

 ―――秋が始まる

 とは言っても、残暑厳しい日は続きそうだな。

「アチィ…」

 私の生徒はどうやら暑いのが苦手らしく私が端正込めて作った問題集に顔を付け愚痴を溢す。


「エドワード、先程から手が止まっているが…」

「だって…熱いんだもん…」

 まだ椅子が大きいらしく足を空でプラプラさせながら、上目使いでこちらを見る。

「ねぇ?先生?」

「なんだね?」

「もう勉強は良いからさぁ、早く錬金術教えてよ!」

 精一杯小さな体を乗り出し、おねだりする。

 …可愛い…!…っと、いかんいかん…。
 …こほんっ


「コレを終えたら教えてあげよう」

 気を取り直し、大人の笑顔をエドワードに向け言う。

「えー? 先生のケチー!」


「兄さん!!喋ってばっかりいないで早く終わらせてよ。
僕はちゃんと終わったのに兄さんが遅いから、僕兄さんが終えるの待ってなきゃならないじゃないかっ」

 そんな兄にアルフォンスが横から文句を言う。

「勉強つまんな〜い」

 ぷーっと小さなホッペタを膨らまして、また机に突っ伏すエドワード。

「エドワードもやる気になれば直ぐに解ける問題だと思ったんだがが…少し難しかったかな?」

 エドワードの様子に苦笑しながらからかう。


「!…そんなんじゃねぇよ! 問題が簡単すぎてやる気が起きねぇの!」

 顔を真っ赤にして憎まれ口を叩きながら、…ムキになってスラスラと問題が説いていく。


 ふむ、やはり少し簡単すぎたかな。

 次はもう少し難易度を上げるとしようか。








 ―次は―…………か………。

 この兄弟への個人授業の時間を私は楽しんでいる事に気付き驚く。
 最初はこんな田舎に居ること自体憂鬱だったのに……。









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あきゅろす。
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