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君を想う。(MM配信中)



 無機質な銀の手と、柔らかな肌色の手をオレはずっと長い事見比べていた。

 痺れの様な麻痺した痛みが、オレの…体の自由を奪っていた。

 さっき、何時もの様に定時にやって来た医師に訴えると、何れその感覚は消えると、無表情に告げた。

 貴方の神経は、もう何も感じたりはしない。

 そう、遠回しに告げている。

 動かない、重りと化した機械鎧と。
 さっきから何度も『動け』と言う脳からのシグナルを無視し続ける、生身の手。

 どちらも、もうオレの役に立ちはしない。


 オレは何処の誰で、何を考えていたのか。どう生きてきたのか。誰を愛していたのか。

 ──‥‥この付け根から‥‥
 ど…ん‥な…‥‥
 足が‥‥はえていたか‥‥‥‥‥、など‥‥。


 名前すら……忘れてしまった。


 運ばれて来た食事を、看護婦がオレの口に運ぶ。
 看護婦が食事の世話をしながら、色々話し掛けてきたけど、オレは応えなかった。
 その上から物を言う様な喋り方が気に触ったのだと解釈する。

「あらあら、口が汚れちゃったわね」

 そう言ってガーゼで口元を拭う。
 オレは、自分で食事すら出来ない───!

 苛々する‥‥。

「焦る事はない。
何れ自然に思い出すことだってあるのだから‥‥焦りは禁物だ」

 何れ‥‥…何れ……‥
 何れ――?
 "イズレ"って"イツ"だ?

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あきゅろす。
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