やっぱり君が好き
1.
大佐と居ると、調子が狂う。
いつものオレじゃないみたいに、大佐の態度に一喜一憂して、滑稽過ぎて、我ながら笑っちまう。
悔しいから、絶対好きだなんて言ってやらない。
「大佐が…見合い!?」
「…しっ」
ハボック少尉に急に口を塞がれ、オレはもがいた。
「あっ、悪い 大丈夫か? 大将」
げほげほと烈しく咳き込むオレの背中を少尉の手が擦る。
少し楽になり、オレは少尉にもう一度確かめた。
「大佐が見合いするって、マジ?」
内心穏やかでは無かったが、努めて平静を装った。
「あぁ、ホークアイ中尉が話してるのを聞いたから間違いないだろ、なんでも大総統直々の紹介らしいぜ?」
「…へぇ、大総統直々……」
「大総統の奥さんの親戚の娘さんらしい、大佐にえらく御執心だって噂だ。巧くいきゃあ、出世街道真っしぐらだな。」
そこまで云うと少尉はくわえていた煙草に火を点ける。
頭を鈍器で思い切り殴られたような衝撃が走り、呆然と立ち尽くす。
オレの視界の隅で、ゆらゆらと煙が漂っていた。
ふうっと紫の煙を吐くと、一息いれてゆっくりと少尉は口を開いた。
「大将…、どうすんだ?」
「な…なにが?」
急な問掛けに声が上擦る。
「…大佐と…デキてんだろ?」
「はっ?…少尉何言って…」
「大将を見てりゃ判る。」
単刀直入に確信を衝かれて…思わず、少尉を見据える。
「そんな泣きそうなツラすんなよ、別に大将の気持ちを否定しようなんて思っちゃいないさ」
オレは今どんな顔をしてるんだろう。
少尉は、慈しむようにオレの頭をぽんぽんと撫でた。
「…で? 大将はどうしたいんだ?」
どうしたいかって…?
オレは答えられず黙って俯いた。
オレは………………。
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