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*短編集*
□好きの架け橋
└ロイエド/切→甘?
 私は付き合ってもう一年になる恋人、エドワードに不満を持っていた。

 告白は私からで、それにすんなりと応じてくれはしたものの、連絡もマメに寄越さない上に私から手紙を書いても返事すら無い時すらある。一緒にいてもあまり心の繋がりを感じられない。
 本当に私を愛しているのだろうかと、疑心暗鬼になってしまう私は決して女々しくは無い筈だ。

 第一に、成就して晴れて恋人同士となった直ぐ後、私からの電話にも出なかったのだ。3ヶ月間たった一度も。だ。

 だが、3ヶ月後、突然連絡して来たエドワード。追求するとそう言うのは苦手でどうして良いか解らないと言った。
 惚れた弱み。これ以上追求出来ず、一年間エドワードの気遣いも感じられた為、エドワードの無精を黙認してきた。
 けれど、愛されていると言う充実感も未だ感じられないでいる。


「何故君は私の告白を受けたんだね?」

 そう訊ねると、

「気になったから。離したくなかったからだ」

 と言葉少なに呟いた。
 離したく無かった。そう言ったエドワードの気持ちは嬉しい。エドワードは嘘は吐くなど器用な事は出来ない。ましてや自分の感情を偽る事など出来やしないだろうと確信するも、やはり私の不安は消えはしなかった。

 然し、ふとした日常会話の中でエドワードの想いがちらつき、それに敏感に感じ取った私にはエドワードを否定する事も出来なかった。

 エドワードは愛情を恐れている。否、幸せになるのを恐れていると言うべきか。
 幸せを手にする自分にも、又、溺れる自分にも。そしてそれが呆気無く壊れる瞬間を恐れていた。
 彼の精神は脆く、臆病なんだと知った。
 今も尚、自らの肩を抱き震えているのだろうか?
 私では其処から彼を救い出せないのだろうか?



「覚えてるか? 随分前、オレと大佐がこういう関係じゃなかった時にさ、軍部の仮眠室で寝てたら、大佐が頭撫でてくれたの」

 覚えているさ。
 あの時、私は恐る恐る眠る君に触れたのだから。触れる事さえ躊躇する程エドワードは汚れなかったから。震える手で触れた余裕の無い自分を嘲りながら、それでも触れたくて、その欲望に負けて触れてしまった自分の本心を確認した。

「オレ、そん時感じたんだ。嗚呼、オレ愛されてるんだって。

そんなの自意識過剰だって思われそうだから今迄言えなかったけど。オレ、そん時スッゲェドキドキして、大佐が好きなんだって自覚した」

 嗚呼。あの時、あの瞬間エドワードと繋がっていたのか。
 あんな単純な動作で私の想いは流れ、それをエドワードは受け入れたのか。
 胸が熱くなる。
 想いに任せ、エドワードを抱き締めた。

 こうやって伝われば良い。

 余計な事など考えられないくらい私の想いは真実なのだと、エドワードに流れて行けば良い。

 それが言葉を超え、エドワードに安楽を贈れるならば。

 安っぽい口説き文句なら口を開けばいくらでも吐いて出る。

 けれどそうじゃない。
 エドワードは私の心と向き合おうとしているのだ。この研ぎ澄まされた五感全てで。

 そんな何でもない仕草で好きなのだと。君に伝えられるなら。


 それが架け橋となり君に伝わるのなら。

 なんて幸せな事だろう。


 言葉ではなく、それを感じ、信じてくれる君に私は偽りの無い愛を誓う。




  end‥

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あきゅろす。
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