【朧月】 7 「…‥──!?」 イきっぱなしの状態が続いた疲労感から、大佐の腕の中にぐったりと身を託した。 もう目を開けるのもしんどい。 全身が痺れていて動かないオレの顎のラインを撫で、押し上げ、大佐はキスをした。 信じられないくらい柔らかな、優しいキスが幾度か降ってきた。 「まだ、ぐったりするには早いよ……。鋼の」 キスとは裏腹の冷徹な声に身が震えた。 確かに衣服に汗がたっぷり染み込んで体温を奪っていたが、この震えは決して寒いからでは無く。その時オレは野生動物の様に身の危険を感じたのだ。 「これ以上、何する気だよ?」 「……随分不躾な質問だな? 決まってるだろう? 次は、私が良くなる番だ」 「──‥‥?」 全く訳が判らない。只、唯一判るのは、この何とも言えぬ恐怖。 なのに、細胞ひとつひとつが固まってしまったかの如く動けない。 「さあ、力を抜きたまえ。後が辛いぞ」 何がなんだか判らないオレの思いを知ってか知らずか、大佐は愉しそうに喉を鳴らし小さく笑うと、肛門の周りを指で撫でた。 「な……!?」 余りに突然の行動に、パニック状態で躰を跳ね上げさせる。 「何すんだっ!! このっ…変態っ!!」 「おや、上官に向かって何て口の聞き方だね?」 からかう様な軽快な声色。狩りを愉しむ獣の声を聞いた気がした。こねこねと揉み解す動きは更に加速した。 何とか逃れようと、腰を動かし藻掻く。けれど、大佐にすっぽりと包まれた躰は、ビクともしなかった。 「まだ、抵抗する元気があるか」 「──!! ゥク……!!」 途端、指がめり込む。肉が引き裂かれる痛みに溜まらず声を出す。 「力を抜きなさい。鋼の」 力を抜けって言われたってそう簡単に抜けるかっ!! 脂汗が滲む程の痛みに顔を歪め、堪える。 「……ッ ……むから、止めて。ィ──、テェ……」 もう、か細い声で訴えるしかなかった。口惜しいケド、頼むしか無かった。 「直に良くなる」 どうやら、止めてくれる気はないらしい。奥歯を噛み締め、情けなくて涙が出た。 耐えられず、嗚咽が洩れる。 「…‥そんなに痛いかね? 仕方ない」 呆れたみたいに溜息を吐き、指を引き抜くと、オレの腰を掴み躰を横にした。 「…‥──!?」 尻に顔を埋め、無理矢理指を入れていた箇所を舌で舐め始める。 「ひゃっ!?」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |