【朧月】
3
ポツ──ポツ……ポツポツ…─
雨だ……───。
良かった……。
突如、降り出した雨にオレは心の底から感謝した。
「…──あっ、あぁ‥ん‥ァ!」
「もっと、声を出せ‥!鋼の…」
雨足は強く、ふたりの声を掻き消してくれた。
何より……‥───
────オレの涙を隠す
「ゃああ‥!た…ぃさ──ぁ…‥!!」
大佐の熱でオレの躰を埋める。その馴れる事の出来ない痛みと、駆け巡る安堵感‥‥。
「きついな…、少しは力を抜きたまえよ?」
「─……んぁ‥、あっ、あっあっ…‥んっ!」
片足を上げる事に因ってより深く繋がりを求められた様で、堪らなく嬉しくなった。
揺さぶられる快感に大佐の広い肩に夢中で縋り付く。
大佐…──!
「んあ‥ふ・ぅ…──!」
大佐───!!
「鋼のっ──!」
タ…──イサ‥──!
「ん、あぁああぁぁ──!!!」
──‥ア………ツ──
「加減はしたつもりなんだが…」
ぐったりと大佐の腕に支えられやっと立つ事が出来る状態のオレに、大佐は呆れたと言わんばかりの言葉を放つ。
「……── アレで加減なんてしたのかよ…」
「…‥それは誉め言葉かな?」
「──!!」
余りに軽いその言葉にオレは今まで縋り付いていた体を押し退けた。
「‥…帰る!!」
大佐は、今、どんな顔してオレを見てるんだろう?
睨み付けたい気持ちもあるけど、今は無理だ。
そのまま壁で躰を支え、大佐を残しヨロヨロと歩き出した。
「鋼の…!」
気遣う様に、肩に触れられた大佐の手を渾身の力で払い。
「もう用事は済んだだろ!
──‥付いてくんなっ…!」
感情を咬み殺し、低く唸り言った。
頼むから触んないでくれ。
頼むから…、優しくすんなよ…
オレに構うな‥──
あ‥‥れ?
「鋼の!?」
.
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