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ツナガリ


 ロイの家へと走る。
 もっと、もっと速く……。
 家までの距離がもどかしくてしょうがない。


 オレ、ちゃんと解ったから…

 ごめん…‥‥!

 ‥‥…ごめん!!

 ―…‥ロイ…!!



「‥‥―――ロイっ!!
―――!!?」

 ロイの部屋のドアを開けた瞬間、オレの眼に飛込んで来たのは………ベッドで、ロイの上に覆い被さる中尉の姿……―――

「エドワードくん!?」

 慌てた様子の中尉。

「―――……ロイ……?」

「――待って……!」

 走り出そうとしたオレの腕に掴み掛り、必死に止める中尉。

「離せっ!!」

 中尉を引き剥がそうと、懸命にもがく。



 ―――ガチャ!

「―――待ちなさいって言ってるのが解らないの―――?」

 こめかみに無機質な冷たい物を押し当てられた。中尉の……愛銃……。

 ――――ゴリッ…

「落ち着いたかしら―――?」

 低い、ドスの効いた声に、オレはコクコクと頷いた。
 頷くしかなかった………。

 其を確認すると、中尉は漸く銃が下ろして、ホッとしたかの様な、吐息を洩らした。

 ホッとしたのはオレの方だ…


「誤解よ…。私はエドワードくんが想像しているような事、断じてしていないわ」

「それじゃあ……!」

 反論しようとすると、中尉にギロリと睨みつけられ、たじろいでしまった。

「私をそんな無節操な女だとでも?」

「あ……いや……」

 慌ててブンブンと首を横に振る。果たして、この人に太刀打ち出来る人はいるんだろうか?

「大佐が廊下で眠り込んでらしたから、ベッドに運んだだけよ」

 ちらっとロイの方に視線を動かすと、確かに眠っていた。

「じゃあ…、後はよろしくね」

「え…? 中尉は…?」

 中尉はロイの事―――

 中尉は、淋しそうな笑顔を浮かべる。

「……エドワードくんが居てくれたら喜ぶから」

「…中尉……」

 ―――中尉は‥‥‥?

「大佐の幸せが、私の幸せなの……」

 よろしくね。中尉は、もう一度、オレにそう言った。

「でも、またこんな事があったら……」

 一度、言葉を切った中尉。オレはゴクッと喉を鳴らし、次の言葉を待った。

「…次は容赦しないわよ?」

 中尉は笑っていた

 ……あの、テーブルの涙
 中尉の大佐を想う気持ちの深さをオレは知ってる


「中尉…!オレ、もう迷わないから!」

 中尉の背中に誓った。

 愛する事は、楽しい事ばかりじゃない、痛みを伴い、迷い、時に、大切な事が見えなくなって、周りも、愛する人ですら……、いろんなモノを傷付けてしまうけど……。

 ロイと一緒に居たい。
 一緒に歩んで行きたいんだ。
 支えになりたい。


 ――――離れたくない……




 中尉は、振り返らず、真っ直ぐに歩いていく。
 自分の信念を貫き、どんな時も前を見て、歩いている。









 ロイが目覚めたら
 愛している 、と伝えよう

 ごめんな…………


.

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