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ツナガリ


「眠れないのかい?」

 隣で、眠っていると思い込んでいた男が、話し掛けてきた。

「ずっと何を考え込んでいたのかね?」

「…んだよ。タヌキ」

 すっかり寝てるもんだと思い込んでたから…、照れ隠しに悪態を吐くオレに、ロイは愉快そうに口を歪ませた。

 ロイは、オレを怒らせるのが、趣味らしく、オレが怒るであろうポイントをピンポイントで衝いてくる。

「エドは、本当に可愛らしいな」

「はあ?」

 オレが”可愛らしい”?
 相変わらず、キザな男だ。どっからそんなクサイ台詞がポンポン出てくるのか、一度ロイの脳の構造を見てみたい。

「…バッカじゃねえの? そういう台詞は女に言いやがれ」

 女に……、自分で言ったくせに、心臓が泣いた。
 煩い。こんな関係、先にあるのは破滅だけだ。

「私は君にしか云わないさ」

 嘘吐けっ!!
 叫ぼうとしたオレの口をロイの柔らかな唇が塞ぎ、そのまま覆い被さってきた。


「ふ…‥うん…・」

 強引に入ってきたロイの舌がオレの身体の力を奪う。

 いつもロイが、強要するように始まるこの行為を、待ち望んでいるのは……きっと オレの方で…………

 貪るようにロイの舌を味わい…、他愛もなく、腕を絡める。

「あ……」

 ロイの手がオレの胸を揉む。

 オレは女の身体を知らないけど、ウインリィをおぶったときに背中に当たった胸は、とても柔らかだった。
 こんな、硬いオレの胸なんて揉んだって楽しくもないだろうに…。

 ロイは愛しむように口に含む。

「…や…、ロイ……」

 いたたまれなくて…、ロイに申し訳なくて、執拗に愛撫するロイの肩を押し放そうと試みた。

「可愛いよ……、エドワード」

 嘘だ………。
 オレは可愛くなんてない。

 更にオレの腕の力は強くなる。

 その腕を、ロイの大きな手で一纏りにされ、生身の方の手の甲に軽い口付けを落とすと、オレの頭上で、抑え付ける。

「……も……、い…から」

 抵抗を勢力したロイは再び胸への愛撫を再開しようと顔を近づけてきたのを、慌てて制止した。





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あきゅろす。
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