505.オールスター!?E.E.争奪戦!
はち
「意外と静かだな」
この辺を一望するに、充分な高さのある時計台に上り、町の様子を観察し続けるロイと、リザの姿。
「街から出てしまったのでしょうか?」
「……それは無いだろう。駅には少尉が見張りに立っているからな。」
先程、ここから、ハボックが駅の方角へと、走って行ったのをロイは見付けていた。
「…そうですか」
カチャカチャと、愛銃に弾を補充する、リザを見て取り、ロイは聞く。
「中尉、よくこんな事を許したな。普段なら、こんな事をする暇があるなら、溜め込んだ執務をこなすよう、言われるがね?」
弾を補充する手を止めずに、リザは少し笑った。
「大佐がすぐサボるからですよ。それに……」
そこまで言うと、少々の間をあけ、私も仕事より大切な事くらいあります。…と、リザは言った。
「大切な事か…」
「…では、私はエドワードくんを捕まえに行きます。
誰かに先を越されるのは、ごめんですから」
手摺に寄り掛り、リザを見下ろしていたロイに、悪戯を企む無邪気な子供がするような笑いを残し、リザは螺旋階段を軽快なリズムで降りていった。
足音が、遠くなる。それをぼんやりと聞いていた。
「…鋼のが簡単に捕まるとは思えんな。私は暫くここで傍観するとしよう」
その頃、エドワードはメイフラワー通りを走っていた。
「あら? エドワードくん?」
そんなエドワードを呼び止める声に振り返ると、そこにはグレイシアが立っていた。
そういえば、この辺にはヒューズの家がある。
「グレイシアさん」
グレイシアに会うのはひどく久し振りだった。
「良いところで会ったわ。
これからアップルパイを焼こうと思ってたの。でも、エリシアとふたりじゃ食べきれなくて…
良かったら来ない? お茶をご馳走するわ!」
今はそれどころでは無かったが、グレイシアの『ふたり』という言葉に断りきれず、エドワードは誘われるまま、ヒューズ家に招かれてしまった。
「さぁ、どうぞ、上がって!
アルフォンスくんも来てるのよ?」
「え?…アルが…??」
お言葉に甘えて、玄関に足を踏み入れたが……アルフォンスが居ると知り、体が石化状態する。
アルフォンスとご対面!?→
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