505.オールスター!?E.E.争奪戦!
じゅういち
「……なんなんだよ…!?」
突如現れた、ラストにじわじわと追い詰められたエドワードの行く手には高い塀があるのみだ。
「そんなに怯えないで…、鋼の坊や……。
ただ私達は、鬼ごっこに参加しただけよ? 別に、取って食べたりしないわ……」
自他共に認める己れの、最強をスラリと伸ばし、ゆっくりと歩を進めるラスト。
「……私達……?」
ラストの一挙一動を見逃すまいと、睨み付け、エドワードは両手を合わせる。
輪を作った左手で、自分の右手を撫でるように動かし、刃へと変化させた。
一触即発。
まさに、緊迫したムードだ。
「ふふ…、その目、素敵よ」
うっとりとした表情で、ラストは唇を舌で湿らせる。
エドワードは、もう一度両手を合わせた。打開策は無いかと、考えを廻らせる。
ぴくりと、ラストの矛が微妙に動く。
来るか……!?
エドワードは、身をこわばらせた。
エドワードの予想に反し、ラストは後ろを振り返る。
「あら、あなたは?」
ラストの目線の先に立っていたのは、リンだった。
ラストは上品な笑いを浮かべたが、眼は笑っていない。
「どーモ、初めましテ」
状況に不釣り合いに、へらへらと間の抜けに笑い、ご丁寧に挨拶までするリン。
「おいっ!! リン逃げろっ!!
そいつは―――!!」
慌てて叫ぶエドワード。
「ホムンクルス…だよネ?」
先程までのリンとは、まるで別人の、何処か掴めない雰囲気を譲し出す。細い眼をうっすらと開け、口許に企むような笑いを浮かべる。
「そう……あなた…、私達を知っているの……」
ラストは、口許に指を持って行くと、獲物を見付けた殺人鬼の如く、矛を舐める。
「あなたが誰かは知らないけど…、後々私達の邪魔をされると面倒ね…………。
今の内に始末してあげるわ!!」
ラストの右手が空へと伸びる。
「―――やめろぉおぉおぉ!!!」
リンを、矛が襲う。
エドワードは無我夢中で両手を合わせた。
―…パンッ!!
「きゃあぁあぁあ!!」
狭い路地の壁が、幾多の突起物となり、ラストを捉えた。
最大の危機!?→
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!