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びーえる改
感謝、かな(リボコロ)



ある日、久々に執務室に遊びに来たのはコロネロとスカルだった。その時リボーンは珍しく仕事が早めに終わらなくて何かと苛々してたのは覚えている。それも、だ。リボーンが近くにいるのにも関わらずコロネロが楽しそうにスカルと会話しているものだから余計に……あ、今ペンが折れた。守護者一行は執務室に漂う最強ヒットマンの殺気に集中出来ずにいたのだった。



「コロネロ先輩って一目惚れしたことあります?」



そんな殺気の中、負けじと話すスカルの言葉にコロネロは一目惚れという言葉に唸りを上げて考えている。そして思い出したように一言。



「すげえ小さい頃にあるぜ?10年くらい前だったっけ…」



ボキ。また何か硬いものが折れる音。愛する恋人のどこぞの誰かに一目惚れ談等聞きたくないのだろう。3本目のペンを取り出す自分の家庭教師を眺めて綱吉は超直感等使わずともわかった。その恋人はそんな音に一瞬小首を傾げるが丁度死角となり見えなかった為に話を続けたのだった。



「俺トイレ。」



コロネロが話を始めてから数分、耐えられなくなったのか余りにも適当な発音で立ち上がり去っていくリボーン。因みに今現在で6本のペンを折っている。綱吉は何も言わずに「いってらっしゃい」と見送ってやった。鈍感な恋人を持つと苦労するものだ。












清潔感溢れるボンゴレのトイレは常に綺麗だ。そんな男子トイレの鏡の前にリボーンは項垂れて立っていた。執務室ではペンを折ったもののポーカーフェイスは保っていた。しかし、だ。精神が、精神が、とリボーンは結構なショックを受けていた。まさか一目惚れの初恋の相手をあんな楽しそうな笑顔で語られるとは。仕事放ったらかしで今にでもそいつを殺しに行こうとも考えていた。



「ああ、こんな所にいたのか。」

「……お前かよ。」

「失礼だな。」



ぶつぶつと呟いていた隙にいつの間に居たのだろうヴェルデが背後に立っているのが鏡越で見えた。手には何やらバズーカの様なものを持っている。勿論、リボーンの興味は何となくそれに注がれるのも無理はない。



「…何だそれ。」

「まだ試作品なのだがね…10年前バズーカだ。あの牛の餓鬼が持っているのと全く逆の効力なのだが…」

「ほー…何構えてんだお前」



説明しながらがしゃんと構える友人にリボーンは頬を引きつらせる。しかし10年前という単語に少しばかり嫌な気分がした。同時に目の前に銃口を向けるヴェルデが笑いながらドン、と一発リボーンに撃ち込んだ。



「ふむ、入れ替わりはしないようだな。」



煙の立ち込める室内に本来ならばいる筈の小さい友人がいない事に顎に手をあてぽつりと呟いたヴェルデは誰かが来る前にトイレから姿を消した。




















何が起こったのだろうか。目を開ければそこは故郷であるイタリアの街並み。しかも俺やコロネロが生まれ育った街。



「マジでか……」



見慣れた街並みなのだが何処か懐かしい感じに本当に10年前に来たのだろうとわかったが辺りを見回しているとある2人組の子供に目を見開いた。



「待てよ!何処に行くの?」

「森!彼処で遊ぼうと思ってんだ。」



黒髪で揉み上げの少し長い少年を追い掛けているのは綺麗な金髪で蒼い瞳の人形のような少年。一目見てわかった。この2人は小さい頃の自分とコロネロだ。リボーンはそんな少年達を見て暫く固まっていたがそっと後を着けていくことにしたのだった。



少年達に着いていってから辿り着いたのは深い森。確かに小さい頃に見た森であることに懐かしい。
暫く少年達を後ろから見守っていたが時たま振り返る自分に流石未来の最強ヒットマンだと自画自賛していたのは秘密である。



着いていってからどれだけ経っただろうか。かくれんぼを始めた2人にリボーンは短く欠伸を漏らした。一体何時になれば帰れるのだろうか。恋人の初恋相手など現れないが、それより小さくて可愛い恋人の姿を堪能出来ただけで満足だった。



「…、リボーン?おーい!リボーン!!」



ふと響く声に顔を上げた。どうやら小さい自分とはぐれてしまったのだろう。こんなこともあったとリボーンは10年前を思い出して思った。確かその時の自分は一回出入口に戻ったな、と暢気に考えていたのだが今にも泣き出しそうな小さな恋人に少しくらいなら助けてあげても未来等変わるまい、と思いそっと近寄った。



「迷子か?」

「…誰?お兄さん。」

「出入口まで案内してやる。」



優しく微笑み手を差し出してやれば少し戸惑いながらも小さな手で握り返す恋人に「行くか」と声を掛けてゆっくりと歩き出した。



「お兄さん、手大きい」

「そーかもな」

「イタリアの人?」

「ああ、」

「また会えるか?」

「……ああ、」



出入口までの道のり、握られた互いの手をしっかり握りながら歩いていった。小さな恋人の綺麗で純粋な眼に見詰められながら。何とも幸せな時間だろう、過去に戻るのも悪くない。
暫くすれば出入口付近に着くところで立ち止まる。そしてゆっくりと手を離し前方を指差した。



「ここから道に沿って真っ直ぐ行けば友達がいる。」

「なんでわかるんだ?」

「ちょっと、な。ほら行け」

「あんがとな!!」



小首を傾げる恋人に曖昧な答えを返すがそれ以上は何も聞かず御礼を言われ、小走りで立ち去ってく背を見送る。その背が見えなくなったと同時に過去へ来た時と同じような現象に起きリボーンは姿を消した。



「リボーン!先に行くなよ!」

「コロネロ!よく帰って来れたな…探しに行こうとしたのに」

「カッコいいお兄さんに道案内してもらったんだ!コラ!!」



2人の少年は名前も知らない青年の話をしながら手を繋いで帰って行った。



















目を開ければ鏡に写る自分。見渡せば先程までいたボンゴレのトイレ。そして未だに残る少年の手の温もり。帰ってきたのだとわかった。不思議な体験だな、と思ったが了解の有無言わさずにバズーカを放った張本人を責める気にはならなかった。
ぎい、と新たに人が入ってきた気配にリボーンは顔をそちらに向ける。



「あ、いた!長いトイレだなコラ」

「コロネロ」



そこに立っていたのはさっき会った少年…の美しくなった今の姿。隣に立つコロネロの横顔を暫し見詰めていたがふと口を開いた恋人の言葉。



「さっき話してて思い出したんだ。」

「初恋の奴か?」

「ああ。今思えばかなりお前に似てたな、って。」

「……」

「おかしいよなー。コラ…ってわ!」



けらけらと僅かに頬を紅く染めて言う恋人を気付けば抱き締めていた。まさか恋人の一目惚れの、初恋の、相手が自分だったことに。
この上ない幸せな気分にリボーンは珍しく笑顔で恋人に耳元に






「Ti amo!colonnello!」








鏡に写る恋人の顔は今までにもなく赤かった。






感謝、かな








end





長い長い長い長い((
お疲れ様でした←

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あきゅろす。
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