雨宿りしませんか? 眠る夜に。(カカサス) ・一部設定で読んで下さい。 ☆☆☆☆☆ 「寝ないの?」 真っ暗な闇の中、おそらくまだ起きているであろう子に問い掛けた。 ひくりと少し驚いたのか振動でベッドが揺れる。 「寝てる」 隣から聞こえてきた短い返事ははっきりと、耳に届く。 そっと閉じていた目を開くと、闇よりもなお、深い黒い瞳が2つこちらを見ていた。 「寝てたら返事しないでしょうよ」 「声掛けるからだろ」 「明日早いんだよ。 早く寝ないと倒れるよ〜」 そっと手を伸ばしてサスケの髪に触れると、少し首を竦める。 さらさらと額で遊ぶ様に撫でると、擽ったそうに目を細めた。 「アンタが寝たら寝る」 「何で…」 「それでアンタが起きる前に起きて、支度する」 「でもねぇ」 ちらりとこちらを伺う様な視線のあと、瞼を伏せた。 「……そうしたら、 いきなりいなくならないだろ」 「ならないよ、よっぽど緊急事態じゃない限り担当の班を置いて任務になんて……」 「そうでも、 そうじゃなくても、 人は急にいなくなるだろ。 もう、目が覚めたら誰も居ないなんて嫌なんだ」 「サスケ…」 僅かに震える睫毛が、全てに押し流されまいとしている様に思えた。 でも、直ぐにまた勝ち気な瞳が帰って来て真っ直ぐに俺を見る。 「だから気にしないで寝ろ。アンタが寝ないと俺はいつまでたっても寝れねぇ」 怒った様な口ぶりをして眉根を寄せる。 何時だって、強気で。 絶対に弱音なんて吐かない。 でも、実は一番淋しがり屋で甘えたなのをもう知ってしまったから。 「だったら、こうしようか」 「うわっ」 そっとサスケの肩を抱き寄せて、懐に抱き込んだ。 小さい悲鳴を上げて驚きで固まっていた身体は、段々と力が抜けてまるでずっとそこにあったみたいに収まった。 「ずっとくっついてれば、いなくなってもすぐに分かるでしょ?」 「………」 きゅっと服を握られる感触がして、残った淋しさも無くなる様に背中を摩った。 触れた所から早い心音が響く。 吐息が服を越えて肌に暖かさを伝える。 「大丈夫、俺はサスケを置いてどっかに行ったりしないよ」 「………カカシ…」 「ん?」 「俺は、もう一生一人でいないといけない気がしてた。 もう一生誰かの側で、 こんな夜を過ごすなんて思って無かった。 だから、 恐いんだ また、一人になってしまうのが」 「……うん」 俺も知っている。 誰もいない夜を、 永遠にそこに有り続ける孤独を。 それも、今はサスケが居るから無くなってしまったけれど。 後ろ髪をあやすように撫でると、甘えるみたいに擦り寄ってくるから可愛くて、またぎゅっと抱きしめる。 そうするとホッとしたような吐息が零れてやっと安心した様に、瞼を閉じた。 しばらくそうしていると、段々重みを増す腕の中の身体が、眠りに落ちて行くのだと教えてくれる。 「もうずっと…、 このままなら良いのに」 入り始めた眠りの中、淋しげに落ちた言葉が切なくて、せめて安らかに眠れる様にとつむじにそっとキスを落とした。 「そうだったらいいのにね」 ポツリと呟いた答えが届いたのか、懐のサスケが小さく笑った気がした。 ☆☆☆☆ 2010カカ誕。 トビウオちゃんに捧げます。 [*前へ][次へ#] |