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なるとこばなし。
遥か。(8000キリリク)
・サスケ帰還後の未来捏造話です
・ので、設定17才位で
・きのこさんからの8000キリリク

以上を飲み込めた方からどうぞ。


    ☆☆☆☆




好きだと思えば、胸が焦がれて

でも、失うのを酷く恐れている。

当たり前過ぎるけど、
本当に自分に起こるとは思わなかった。



   ****


さらさらした風が吹いた。俺の横を通り過ぎてから、サスケの横を通り過ぎる。

その風に揺れた横髪がキラキラ光った気がした。

気のせいだ。

そんなの。


それでも、アイツの周りだけがいつもキラキラしている。


ずっと小さい頃から抱えていたこれが"恋"なんだと気が付いてからは、更に増えた気がするキラキラは、いつでもどこでも不意打ちの様に現れて、俺はいつもそれに簡単に気を取られてしまうもんだから、失敗が増えた。
その度にサスケに馬鹿にされては、心の中で何度"テメェのせいだ"叫んだっけ。


分かってる。

これはおれのせい。


でも、俺はそれを言えないでいた。


だって怖かった。
言ったら、全部壊れてしまう気がしたんだ。

そもそもが男が好きだなんておかしい。

それに
必死に追い掛けて、
追い掛けて、

やっと掴んだ、
この楽しい毎日も、

仲間という居場所も、

今では、
親友という肩書きも、


それを無くす位なら、

また、
サスケを失う位なら


「好きだ」と

言わない方がずっとましなんだ。


「…っとお!!」
「ボサッとすんなウスラトンカチ!」
「分かってるってばよ!」


……戦闘中でした。

俺の1センチ位前を、手裏剣が掠めていく。

あー、戦ってる時にまでこんな事考えるなんてマジで終わってる。

重症って事。

四方八方から飛んでくるのを避けながら、やっぱり目の前のキラキラに視線を持って行かれた。


「俺は右をやる」
「分かったってばよ!
俺は左な!」


物音一つ立てずにキラキラが消えた。
右から叫び声が聞こえる。
遅れずに俺も草影に突っ込んだ。

分身して囮にすると、俺は敵の背後に回る。
罵声を浴びせられている、俺だから可哀相だな。
ギャーギャー騒ぐソイツの首に一発叩き混めば、バタリと倒れた。


「ご苦労さん」


ぽふりと分身を消すと敵をロープでぐるぐる巻にした。


「終ったか」
「おう」


あ、綺麗。

と意味不明な事が頭をちらついた。
少し見ないだけですごく淋しく思えるんだ。

毎日毎日年月を重ねて少しずつ、のめり込んでいく。

「好きだ」と気持ちばかりが積もって山になるのに、絶対口には出来ない。

それは重たくて、
辛くて辛くて、
想像していた物より、綺麗で素敵な物じゃなかった。


でも、捨てたり諦めたり絶対に出来ないんだ。



「またボサッとしやがって」
「うん…」


サスケが俺の近くに敵をほおった。
こっちもやっぱりぐったりしていて、しばらく起きそうにない。


「そうやって任務中もボサボサしてると、いつか酷いめに合うぞ」


はぁと短めにサスケがため息を付いた。
それと同時に振り返る。
でも、
その目が見開かれた。
それは、この世の終でも見たかの様な。


「ナルト!!!」


背中が酷く熱くなって、
目の前が真っ暗になった。



   ****


さらさら、

さらさら前髪が撫でられてる気がする。

気持ち良くて、

まだ寝ていたい。

でも、
サスケに会いたいなぁ。
あのキラキラな世界に、

「……………帰りたい」
「もう少し傷が塞がったらな」


重たい瞼を開くと、俺の隣にサスケが座っていた。
じっと見下す様に俺を見ている。


「どうした…んだっけ?」
「背後から切られたんだ。
敵がもう一人いた。」
「そうなんだ…」


そういえば少し背中が痛い様な。
起きようとしたら、体中が軋んで上手く動けなかった。


「まだ動くな。
血はすぐに止まったが、傷はまだ完全には塞がってないんだからな」
「ごめん…」
「気にするな。敵に気が付かなかった俺も悪い。
それに、お前の回復力も異常だったから慌てずに済んだ」


そう言うとサスケはにやりといたずらっぽく笑った。

なんだよ、それ。

とは思ったケド。
笑った顔を見れてなんだか得した気になる。


「もう少し寝てろ」
「敵は…?」
「他の奴らが連れてった。だから安心しろ」
「……うん」


そう言われて気持ちがゆるんで、すぐにまぶたが重くなる。
ふわりとまた前髪を撫でられた気がした。
さらさらと触れている、その指先に心地良さを感じながら、


俺はまた眠りに落ちた。


    ****


暖かい。

そう思った。


ぱっと目を開くと、柔らかい陽射しが顔に掛かって暖かさが増したのだと気が付いた。
でも、目の前にいたはずのサスケが見当たらない。
何処かに行っているのだろう。

すぐに帰って来るだろうと、寝返りを打って横を向くと、



そこにサスケの顔がドアップであった。

とにかく、驚き過ぎて身体がカチコチに動かなくなる。

ダラダラと嫌な汗が流れた。

そりゃあ、壊れるんじゃ無いかって位に心臓が鳴っている。



そんな当のご本人様は、

ぐっすり眠っていた。
規律正しく刻まれる呼吸に身体が上下している。そっと俺の鼻先に寝息が掛かった。

ぶっちゃけ、

鼻はぶつかりそうですが!

それくらい、俺とサスケの距離は近かった。
何がどうしてこうなったのか、

近くで見た顔は、とっても綺麗で降りた睫毛は長い。

肌も真っ白で、

俺は我慢出来無くて、

そっと指先で触る。
ふわっと柔らかい触り心地に、堪らなくなって、慎重に指を滑らせて撫でた。


「サスケ」


短く呼んでも、うんともすんとも言わなくて、


今なら、
バレない。


そう思って、

そっと、
キスをした。

少しひんやりとした、でも柔らかな、
そんな感触がした。

離れれば、キスしたという実感が湧いて顔中が熱くなる。

慌てて飛び起きた。
さっきまで軋んでいた身体は嘘みたいに軽くて、いつも通りだ。

ちらりと視線を落とせは相変わらず、すやすや眠る姿があった。
そういえば、最近任務が立て込んでいた気がする。
上はこっちが口答えしないのを良い事にやっかいな任務ばっかり押し付けてきやがるし。

疲れて寝ちゃったんだろう。


しかし、
どんだけぴったりくっついて寝てんだよ!

ヤバかった。

色んな意味で…。

いや、今だって充分ヤバイんですケドね。
最近、任務は一緒でも2人きりになる様な事なんて無かったし…。

思わずごくりと生唾を飲んだ。
寝ている姿というのは、なんてスキだらけなんだろ。
こんなんじゃ、何されたって気が付かないよな…。

いやいやいやいや!
ヤバイって俺!

意識が無い相手に、アレやコレや…。


俺のバカーーーっ!


「ん……」


短い声に俺の心臓は破裂せんばかりに、跳びはねた。
もぞもぞと、気配が動く。
半泣きになった俺は恐る恐る振り返った。
キラキラはそこから動かずに、丸くなっている。

可愛いなぁ…。


男に言う言葉じゃないケド。
ゆるく握られたサスケの手にそっと俺の手の平をかぶせた。
無駄の無い綺麗な手に、微かな傷を感じる。
いくら触っても、微動だにしないサスケに俺はまたキスしたくなった。

少し位、分からないよな。

顔にかかる横髪をよけると顔がはっきり見えた。すっとした鼻筋に、黒い宝石みたいな目を隠しているまぶたまで真っ白いんだなぁと、感心する。

そっとそっと、

近寄って、


唇に呼吸がかかった、


「ナルトぉーーっ!」


え?
少し遠くから声が。

慌ててサスケから体を話すと、サクラちゃんが物凄いスピードで駆け込んで来た。


「ど、どうしたってばよ!?サクラちゃん!
「どうって!
あんたが大怪我したって聞いて、飛んで来たのよ!」
「え?そ、そうなの?」
「そうなの?じゃないわよ!」
「大丈夫!全然元気だってばよ!」
「大丈夫じゃなくて見せなさい!」
「え?でも…」
「……何の騒ぎだ…」


隣でむくりとサスケが起き上がる気配がした。

振り向けない。

あんな事した後だから。まだ体ん中に燻っている気持ちを払えなかった。
さらりと風に乗ってサスケの匂いがした気がする。

サクラちゃんに診て貰ったら案の定、怪我はほぼ完治していた。


「ナルトに一般常識なんて通用しないわね」
「だから大丈夫だって言ったんだ」


と、2人そろって鼻で笑う。
こういう所だけはとっても気が合うんだからなー。

またこうして笑い合えるのだって、誰ひとり掛けなかったからだ。

サスケを失わなくて済んだからだ。

やっぱり、心に閉まっておいた方が良いに決まってる。

ずっと閉まっておけば、このままでいられるから。


ぎゅっと握った手の平は、少し痛かった。


「さ!帰りましょう!
みんな心配してるわよ!」


きびきびとサクラちゃんは俺を置いて歩いていってしまった。

サスケは俺を待つ様に隣に立っている。


「相変わらず容赦ねーなー、サクラちゃん」


そこがカッコイイんだケドねーとぼやきながら、立ち上がった。

また風が抜ける。

ふわりと今度は黒髪が俺にかかった。


へ?
何で?

あまりの事態に頭がさっぱり回らない。


唇あるのは柔らかい感触で、
キラキラしたものが俺の目の前に広がっている。


ぽかんとしていると、離れていく温もりに俺ははっとした。


「へ……?」


すっとした物言いたげな真っ黒い目に、吸い込まれそうになって俺は動けなくなる。
でも、それだけでサスケはすたすた歩いていってしまった。


「な…っ、なにしやがんだ!」


嬉しいくせに裏腹な言葉が出た。

情けねぇ。
好きだって言えねぇからって。
八つ当たりだこんなの。
サスケは俺の声に振り返って、さも俺を見下した様にこう言った。


「馬鹿みたいに我慢するなんてお前らしくないんじゃないのか?」
「はぁ!?
意味分かんねーってばよ!」
「ならいい」


ふいっとそっぽを向いて歩き出してしまった。

俺は手で口を押さえて一呼吸する。

サスケが触れてくれた唇が熱い。

もしこれが、
俺と同じ意味なら、

好きって事なら。


俺は。


「待てよ!」


大きな声で呼ぶ。
キラキラと眩しいアイツが振り返った。
真っ直ぐに俺を見ているその目に射ぬかれて、言葉が詰まりそうになる。

負けない様にぐっと体に力を入れた。


「好きだ」


真面目に、強く告げた。本当は溢れかえってしまいそうなくせに、強がって。
でも、その一言に全てを乗せた。

サスケは何もかも知っていたかの様に、冷静に一つまばたきをする。
そうすると睫毛からキラキラがこぼれる気がした。
黒い目は表情を変えず、ただ俺を見返す。


「なぁ」


お前はどうなの?

声に出さずに聞いた。

木漏れ日がゆらゆらと、俺達に降り注ぐ。
そっと良い形の唇が、開いた。


「お前にはどう見える?」

そう言って、
ふわっと春の日差しみたいに笑った。
キラキラとこぼれる光みたいに、優しくて暖かい笑顔。

キラキラとしている。

変だ、俺。
でも、最初からずっとまともじゃないって
分かってた。

きっと、それが好きになるって事だったんだ。


「ずりぃよ」


そんなにして笑われたら、
嬉しくないなんて、

俺の事好きじゃないなんて、
思えないじゃないか。


「俺馬鹿だから、
ちゃんと言ってくれねぇと分かんねぇよ」

そっと近寄って伸ばした指が、頬に触れる。


それが、

やっと
遥か、遥か

彼方のサスケの心に届いた、
そんな気がした。


キラキラと光輝いた目が、まばたきをする。
近くで見れば見るほど綺麗なひかり。

それを揺らめかせてサスケは笑った。


「好きだぜ?」






☆☆☆☆

友達から恋人になるまでのウズウズしたナルサスという事でしたが、ウズウズしてるのがナルトだけに(涙)


きのこさん貴重なリクありがとうございました!遅くなってすみませんでした!


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あきゅろす。
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