「銀ちゃん! マダオに酢昆布取られたネ!」
「マダオ? 長谷川さん?」
「違うヨ。新しくマダオになったマヨラー」
「新しいマダオって。ダメじゃねえだろあいつ」
「アイツ定春に、いちご牛乳飲ませたアル! ダメダメヨ!」
「あー……ダメだね、酷いねー」
「双子の巫女ンとこブチ込んで来たヨ。散歩したがってたし」
「でもオメーが連れ帰ってきたよね」
「当たり前ネ。定春を元に戻すために仕方なくマダオに預けただけヨ? 阿音百音連れてきたらあいつは用済みアル」
神楽にはまだ言わないどこう。俺が危ない。とばっちり、つうか全面的に俺の指示なんだけど十四郎向けの怒りが俺に向けられたらコワイ。
阿音百音姉妹に様子を聞きに行った。
「今回はそんなに手こずらなかったわ」
「へえ。神楽の言うことしか聞かないと思ってたけど、あいつもそれなりに定春と上手く……」
「あいつって誰」
「黒髪の侍が連れてこなかったか?」
「ああ、アイツ。役に立たなかったわよ。背中に乗って振り回されてただけで」
「そうです、踊りの邪魔もするしほんとムカつきます」
「ダメじゃん」
「ダメですね。今回は定春が力を制御しようと努めた結果にすぎません」
「ダメじゃん」
「だからそう言ってるでしょ! それよりアイツ店に来ないかしらふんだくってやるのに」
「行かないと思う! あいつそういうのダメだから」
「ダメじゃない」
定春の散歩はイイとこナシか。
まあ無理だよな。俺たちだってあの時手こずったもの。三人いて三人とも手こずったもの。
神楽に詳しく聞いたら酢昆布はくれてやったらしい。その代わり10箱買ってもらったらしい。
損してるよ十四郎。ダメじゃん。
万事屋に帰ったらボロボロの着流しがこっそり洗濯機に突っ込んであった。ははぁ、本屋ミッションに出掛けたか。よし、これは本家に採点してもらおう。
夕方になって、神楽が帰ってきて飯を食った。黒の着流し見つかったら面倒くさいので、俺が先に風呂入って洗濯しといた。無事だといいけど、着物。
それにしても良くわかったなあいつ、自分の着物しまってあるとこ。何回も泊まってるからわかるか。
神楽が風呂入る前にそそくさと洗濯物引き上げて、俺の部屋のほうに干しといた。やっぱ袖取れちった。無理だな、コレ。
そんで神楽は寝ちまって、定春もあくびし始めて押入れに向かったから『客が来ても黙ってろよ』って言っといた。定春はフンッて鼻を鳴らした。ムカつく。でも通じたようだ。
その後かなりヒマだった。ジャ○プ何回も読んでさすがに飽きたし、だんだん眠くなってきたころ、
「どうだ! 大したことねえな!」
なぜか本屋ミッションだけでまたまたボロボロになった十四郎が帰ってきた。
すげー威張ってるけど、偵察(納豆女)から報告は来てるんだよ残念だったね十四郎くん。
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