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会いたかった

※隠れホモップル設定。あと山たま設定





じりりりーん


「ハイ万事屋銀ちゃん。今日は仕事受けないからな……って、あれ、土方?」
『今日の約束っ、えぐっ、ダメになった…….ひぐ』
「え? お、おう。しょうがねえよ急ぎなんだろ。大丈夫、待ってる」
『俺はっ、お前のこと忘れないけど、お、お前は好きに生きてッ、いいから、グスン』
「は? ちょ、泣いてんの!? どしたの」
『きっと幸せにッ、なれよ……! うわぁぁん』


ブツッ。
トゥルル、トゥルル、


『お掛けになった電話は現在、電源が入っていないか電波の届かない……』


(オイオイ、電源切られちゃったよ)
(なに、別れるってこと? 俺なんかしたっけ。浮気疑惑? そういや最近変態くノ一に絡まれて……いやソレはアレだ、違うってわかってくれたし)
(とにかく情報収集だな)


てくてく、


(げ、沖田が真面目に仕事してる)
(なにがあった。槍が振るのか。それとも土方がそんなに……?)
(怪我? でもそれと別れ話とどんな繋がり?)


「おーきったくーん。団子食おうぜ」
「げ。旦那」
「げってなに。奢るよーん」
「俺ァ見ての通り見廻り中でさぁ」
「少し休憩しろって。な」
「……少しですぜ」



「旦那、今日は俺がご馳走しやすんで俺ァ仕事に戻りやす」
「珍しい。一本や二本食ってけって」
「ええ……そうしてえのは山々なんですがねィ」
「お宅の副長さんは? どこ行ったの」
「あー……」


(オイオイ固まっちまったよこの子、どうしたの)
(えっ、まだ固まってんだけど俺ツッコミ入れたほうがいいの、入れないとおかしいよね!? 俺と土方って仲悪いことになってんだもん心配したらマズイよね)


「部下に丸投げでサボりですかぁ。副長の癖にアレだね、うん、アレだと思うよ」


(討ち入りとかだったらどうしよう。そんで怪我したとか。でもそんくらいで泣かないよなアイツ)
(もしかして……ヅラあたりがまた捕まって、今度こそ空気読まねーで昔の俺の名前でも連呼したのか)
(アレ言われたらヤダな。あの二つ名、ほんとアレだけは知られたくない。あああー!って叫びたくなるよいろんな意味で)
(けどヅラだって大概だろ。なに『狂乱の貴公子』って。確かに狂乱だけどさ。今も昔も。こないだも半狂乱で女装バイトとかキャバの呼び込みしたし。あいつのは攘夷活動じゃねーよただのENJOY活動だよ)
(ちょっとそろそろ動いてくんないかな沖田くん。高杉バージョンも考えたほうがいいかな)


「あー、……ヤローはダウンしてまさァ」
「へーえ珍しい。鬼の霍乱?」
「いや……」


(また固まったよどうしちゃったのこの子! やっぱ高杉が捕まったときのことも考えとこう)
(つってもアイツは『銀時殺す』しか言わねえだろうし、ヅラよりは安全牌かな)
(けどアイツも昔のあだ名を知ってる一人なんだよな。悔しいことにアイツにはこっ恥ずかしい通り名ないし)
(『坂田は白夜叉だったんだぜェ?』とかふんぞり返って言いつけるだろあのチビ!ムキー!)



「今回は、あの人らしからぬっつーか、いかにもあの人らしいっつか。いずれにせよこれまでの中の最凶のバカやらかしまして」
「どんな?」
「あー……」
「……」


「……やっぱ止めときやす。ちょっとした箝口令が敷かれてやしてねィ。旦那が知ってたら疑われんのァまず俺でしょうから」



(クソぉぉお! あんのドS小僧……期待させるだけさせといてそれかよ!?)
(もういいもんね、銀さん自分で見に行くから。土方くんのお部屋拝見するから)
(にしても箝口令だと……? 結構大ごとなのか)
(まさか、重症、とか)
(んなわけあるか、アイツさっき自分で電話してきたもの。命に関わるわけナイナイ)
(でも一応、念のため、イヤ俺の安心のために……)


「オイたま。山崎どこだ」
「わかりません」
「えっ、上手くいってないの? や、ごめん……」
「上手くいってない、の定義がわかりません」
「あの、山崎に嫌われたとか山崎が嫌いになったとか」
「そうではありません。山崎様が先ほどいらして『当分姿消すけど探さないで』とおっしゃったので了承したという意味です」
「え……なんで? ジミーくんどうしちゃったの」
「その情報はありません。しかし山崎様の発汗量と心拍数が通常を遥かに超え、また視線を辺りに配る回数が一分間で右に三十回、左に二十三回、」
「それもう視線彷徨ってんじゃねーか! 焦点合ってねーよ!?」


(ダメだ、ジミーの線は捨てよう)
(ジミーがそんなに慌てるってこたァやっぱり土方の身になんかあったのか……?)
(くそッ、待ってろよ土方!)



ごそごそ、
潜入完了、がさごそ
しーん


(むふっ、土方の匂いがするぅ)
(いやいやしっかりしろ俺、今日はデレデレしてる場合じゃないから)
(部屋にはいねえ、と。帰ってくるかな)


ごとん、すーっ
グスン、ひくっ、


(ひ、ひじかた! よかった、無事だった!)
(でも泣いてる、よな……どうしよう)
(何から話す? 別れ話なんて嫌だって言うか。別れるつもりなんだよな? 『俺はずっと好きだけどお前は好きに生きろ』とか言ってたし)
(だいたい自分の部屋の押入れに俺が入ってたら怒るよな、そっから謝ってこう、よし)



「じゃあトシ、しばらく有休な。ちょうどいいって言っちゃなんだけどゆっくり休め」


(げっ、ゴリラ!? ゴリラと一緒なの? なに有休って、どしたの!?)


「浅くはないから、ゆっくり治すんだぞ。ほら横ンなって。だいじょぶ? 手ェ離すよ? おっと」


(治す? やっぱり怪我か! つか、あの土方が泣くほど辛えのか)
(なにコレ、手ェ離すってことは手ェ握ってたの!? 許せねえ!ゴリラの癖に! 十四郎に手ェ貸して、えっ!? ままままさか、抱き上げて寝かしてたりして!?)
(ゴリラゴリラゴリラの癖に! 絶対許さねーから!)
(もしかして付きっ切りで看病する気か? もっと許せねえ! 土方の看病は俺がするんだーッ!)



「こんど、さん……ぐすっ、も、いいから、えぐっ、一人にっしてくれよ」


(ああ!土方だ! 土方の声だ!)
(喋れるんだな、よかった……最悪の事態じゃないってことだ)
(ほらゴリラ、拒否られてんぞさっさと出てけ。シッシッ)


「トシ、もう気にすんな」
「そんな訳にいくかっ」
「運が悪かったんだって」
「慰めなんてッいらねえ!」
「しばらく痛いだろうし違和感あるだろうけど、治るから。気にすん、」
「するに決まってんだろ!!」
「トシ落ち着けよ少し大袈さ、」
「こんなカラダになってもッ、アンタ忘れられんのか!? この傷ッ、きっと消えね……ふぐっ」
「まあまあ。男なんだから……これが女の子だったら大変だけどさ、」
「男だって大変だッ!! うわああああん!」


(どういうことだ……? 傷? こんなカラダ? 女の子だったらって)
(俺、なんか聞いちゃ不味いことを……)
(もしかして、どっかの野郎に乱暴されたとか)
(だから山崎が焦ってすっ飛んでて)
(さすがの沖田も仕事して)
(まさか。そんなはずねえ)
(土方は強い。近藤も一緒だったらしいし)
(でもなんで近藤だけこんな拒否すんだ? ま、まさか近藤に無理やり……!?)


「一人にしてくれよッ」
「うん……じゃあ、お大事にな」


すとん、


(近藤出てったな)
(土方……すげえ泣いてる)
(出てって慰めてやりたい。ぎゅってしてえ)
(でも……土方は隠したいのかもしれない)
(俺に知られたくなかったのかも)
(ああ、だから別れるみたいなこと言って)
(大丈夫なのに。何があったって俺はお前が好きだ)
(そう言ってやるべきか、知らない振りしとくべきか……もともとここにいちゃいけねえんだもんな、俺は)
(土方……? 声が、)
(消えた。寝ちゃったのか)

(やっぱり帰ろう。自分から言いに来るのを待とう)
(ごめんな。無理に暴いちまって)
(無事を確かめたいなんて、俺の自己満足だった)
(待ってる。お前がもう一度立ち上がるまで、ずーっと)



すそそそ、
しのーび、



(ん……?)
(なんか変じゃね、寝方が)
(枕に突っ伏して泣き寝入りだと思ったんだけど)
(なんで顔に枕乗せてんのこの子)
(泣き顔隠すため……? イヤ不自然過ぎんだろ)
(ちょっとだけ、顔見たいし)
(ああでも、これが余計な世話なんだよな)
(イヤイヤこの苦しそうなのよけてってもいいよな)
(うーん、なんか想像してたのと違い過ぎるんだよなぁ)
(もっと小さく丸まってるかと思ってたんだけど……男らしく大の字で寝てるし)
(泣くほど辛いときって、体も縮こまると思うんだけどなぁ)
(ん? ちょ、あれれ?)
(こここ、股間、ちょ、土方くんの息子さん……!?)
(おまっ、泣きながら息子さん育ててんじゃねーよォォオ!?)
(やっぱアレか、無理やりアレされて……って落ち着け俺、近藤はバカだけどそんな下劣なことするヤツじゃねえ)
(むしろ全力で土方を護るだろ)
(うーん。じゃあなんなのコレ)
(やめろ、やめとけ坂田銀時さっき反省したばっかだろ、確かめたいのはわかるけどやめとけってば)
(うわあああ確かめてぇぇえ)
(大丈夫だウン、確かめて何かあっても絶対気持ちは変わらない、お前が好きだから)



「ごめんな……」



そろーり、



「ぎゃあァァァァァ!?」



「ひじかた!?」
「ぎ、銀時!?」
「ごめん、」
「なんでココに!?」
「その……別れたくねえって言いに。怪我したのか?」
「はっ!? み、見んな! 帰れ」
「わかった。帰る。ごめんな勝手に上がってきて……でも別れるなんて嫌だ」
「なんで居んだ! 今日は逢えないって言っただろッ」
「今生の別れみたいなこと言ってたな」
「もう逢えなくても! 俺はずっとお前が……」
「俺だって好きだ。なんで逢えないの」
「俺はっ、もう……」
「言い訳にもなんねーけど、理由も言わないで別れるみたいなコト言ったらびっくりするよ。確かめようにもジミーくんには逃げられたし、沖田くんまで喋ってくんないし」
「言うなって言ったからだ!あいつらすぐお前に言うから」
「箝口令ってお前が敷いたの」
「そうだ!」
「それもびっくりしたよ。おめーになんかあって、副長の不在を隠す大々的な理由があんのかもって」
「そ、外向きには知られたくなかったんだ……」
「俺にも?」
「お前にいちばん知られたくなかっ……ううっ」
「ふーん。あいつらが知ってて俺の知らないことがあんだ?」
「う……それは、」


(俺が知っててお前が知らないことは山ほどあるけどな! 土方くんのちんこが寝てる間ももっこりだったとか! 土方くんが可愛く泣きじゃくってる声聞いちゃったとか!)
(それにしても今日は手が出ねえな。珍しい……いつもならもうボッコボコにされてる頃合いなのに)
(ああ、手ェ後ろについてっから出せねえのか。自力で座れねえのか? そこまで弱ってるとは思えねえけど――特に息子さん)


「ね、十四郎。ココは俺と別れたくないって言ってるみたいだぜ」
「ぎゃあァァァァァ!?」


(えええええ!? ちょ、ひじかたァァァア!?)



「オイ、大丈夫か」
「大丈夫なわけっ、ねえだろ、」


――副長! どうしました!?
――副長! 勃っちゃいましたか!?


「うるっせェェェァァァア!! テメェら笑ってんじゃねぞゴラァァァァ……ぐすん」

「ち、散ったか野郎ども」
「テメェもだァァァア! こんなコト! 知られたくなかったのにッ」
「こんなコトって……もしかして、ちんこ怪我した?」
「なんであっさり言えるんだよぉぉぉ!? 恥ってもんがねえのかテメェにはァァァア!?」
「落ち着けって。大丈夫。俺なんかボックスドライバーとか金鎚とかにされたし」
「されたんだろ! 俺は自分でしたんだッ」
「なーるほど。近藤があんま同情しねーわけだ。下ネタがデフォルトだから、なんでおめーが落ち込んでるかわかんねーってこった」
「近藤さんだけじゃねーだろ! お前もだァァァア! うわああああん」


【回想:お昼の土方くん】

1 午後からデート! 久しぶりだぜ、ウキウキ
2 午前中の仕事が長引いた……銀時と一緒に昼飯食いたかったのに、しょぼん
3 銀時が飯食わないで待ってたら悪いよな。先に食えって連絡しよう
4 俺も腹ぺこだけど早く出かけたい。タバコも吸いたい

【土方くんの選択】

1 銀時に電話しよう! 片手でできるし
2 タバコはくわえタバコでいいよな!
3 カップラーメン作ろう。熱湯で三分だよな。片手が空いてるし余裕だな!

「土方さーん。俺のカップラーメンも作っていいですぜコノヤロー」
「あんだとォォオ!? わあああ!」



【土方くんに起きたこと】

1 急に振り返ったせいで、熱湯入りカップラーメンが落ちた
2 叫んだせいでタバコが落ちた
3 熱さに驚いて薬缶を落とした




「ああ。そら全部股間に掛かるわ」
「ぜ、全治三週間だって……」
「熱湯被った時は脱がずに冷やす。鉄則だろ」
「総悟は見てるだけだしっ、山崎がパンツの中に氷放り込んだ!」
「あーあ、皮膚が剥がれちま……っておま! ジミーに見られたのか!」
「止められなかった……ぐすっ」
「あっ、土方はしょうがないよな。けどジミーくんが慌てて逃亡した訳がわかったぜ」
「そんでっ、タバコが」
「ちんこ直撃? あらら、可哀想に。痕消えにくいよな根性焼きって」
「ぶえっ……ひぐっ、す、すまねえっ」
「ほら鼻かみな。道理で沖田くんも固まってた訳だ」


(さすがのドSもラーメンひとつでこんな惨事になるとは想像もするめえよ)
(今頃後悔してんだろうなぁ。もっと早くカップラーメン作らせりゃよかった方向で)


「もうお前に見せられねえッ……」
「ん? なにを」
「……を。ひぐっ」
「えっ、何て?」
「あっ痕ついちまったから……! もうキズモノだろ」

(???)

「体の刀傷とちんこの火傷って違いあるの」
「刀でナニ斬る奴はいねえ! ぐす」
「ねえ、そんでずーっと泣いてたの」
「悪かったなッ」
「いや。いやいやいや。全然悪くない。はあ……」
「嫌だろっ、こ、こんな」
「なに言ってんの。むしろしゃぶり倒す」
「!?」
「だって俺に早く逢いたくて作った傷だろ。俺の腹具合まで心配してくれたから、怪我したんだろ」
「……」
「見なきゃ損だっつの、ンな可愛い傷」
「……ほんと、か?」

「いいから寝な。大丈夫だから。朝までは居らんねーけど、おめーが寝るまでここに居っから。明日も、明後日も、治るまでずーっと通ってやっから」


(別れるなんて言うな)


ちゅうっ、


「心配すんな」



「ぎん、とき……んんっ」
「ん、もっかい」
「んふ……ぎゃあァァァァァ!?」
「えっ!? どした!?」
「勃った! 勃っちまったァァァ!」
「あ、キスで。ごめん」
「しばらく来んな! つかなんで居んだここ屯所だぞテメェェ!?」
「ええええ!? 今さらソコォォォ!?」





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