俺は弟が大嫌い。番外編(過去) 7 ベッドは、俺と弟の部屋に一つずつあるが、弟は俺と寝たがるので、いつも二人で俺のベッドで寝る。 真っ暗な中で寝るのは怖いから、いつも豆電球をつけたまま寝る。 電気を消して俺がベッドに入ると、弟も嬉しそうにベッドに入ってきた。 俺に抱き付いてきたので、俺からは弟の頭しか見えない状態だ。 「僕ね、兄さんが世界で一番好き」 今日の弟は本当にどうしたんだろう。 いつもはこんなこと言ってこない。 「俺もだよ」 何かあったのか、と思い、そう返す。 すると、弟は顔をあげて、満面の笑みを浮かべた。 そして、軽くキスしてきた。 それは珍しいことではないが… 「ずっと一緒だからね」 ーゾッとした。 弟の笑顔か、酷く歪んでいた気がした。 しかし、見間違いだったのか、普段の笑顔に戻っていた。 だから、気にしないことにした。 だが、俺はこの時に気付くべきだったのかもしれない。 弟の気持ちが、只の兄弟愛なんかじゃないことに。 そうすれば、未来は変わっていたのかもしれない。 …今更そんなことを考えても仕方ないけれど。 全て遅すぎたのだから。 END [*前へ][次へ#] [戻る] |