俺は弟が大嫌い。番外編(過去) 1 「兄さん、おはよう」 「ああ、おはよう」 俺は文弥。小学2年生だ。 弟の智樹は一つ下の1年生。 俺たちのお父さんは単身赴任で一緒に住んでいない。 母親は仕事で家にはほとんどいない。 つまり、家にはいつも俺と智樹だけ。 寂しくないわけじゃない。 でも、智樹がいてくれるから、毎日孤独を感じることなく過ごせている。 智樹とは、学校以外ではいつもいっしょだ。 登下校も、放課後も、勿論家でも。 お互い、好きというよりも、寂しさを埋めるために一緒にいるという感じだと思う。 「ーあ、智樹。今日は俺授業が一時間多いから先に帰ってて。」 いつも一緒に帰り、公園で遊ぶけど今日は無理だ。 「…うん。」 少し間があったが、智樹は笑顔で頷いた。 [次へ#] [戻る] |