小説:俺は弟が大嫌い。
27
夕飯、風呂を無事に済ませ、そろそろ寝ようかと思っている頃。
まてよ…?
寝室に俺のベッドがあるということは、弟のベッドもあるのでは。
あいつと同じ部屋で寝る…?
だ、大丈夫なのか!?
「おい!」
「どうしたの?突然」
「同じ部屋で寝るんだよな!?お前変なことしねーだろうな!」
「…変なことって?」
…ん?
とぼけた様子はなく、キョトンとしている。
…何か企んでいるようには見えないが…
「な、何もしねーならいい。俺はもう寝る」
「あ、じゃあ俺も」
弟と一緒に寝室に行く。
すると、そこにはデカイベッドが一つあるだけだった。
「は?」
おいおい、どういうことだこれは。
弟を見ると、ニコニコと微笑んでいやがる。
「じゃ、寝よっか」
「じゃねーよ!これはどういうことだ、説明しろ!」
これはもしかしなくても…
「何って…俺と兄さんのベッドだけど?」
一緒に寝る気か!
「ふざけんなよ!変なことしねぇって言ったじゃねーか!」
「一緒に寝るのって変なことかな?別にヤろうって言ってるわけじゃないのに…」
「ぶっ!」
ヤ、ヤるだと!?何てこと言ってやがる!?
「いーから寝よーよ」
「うわっ」
智樹が俺を抱えてベッドに放り投げた。
そして、智樹もベッドに入ってくる。
そして、俺に近付いてきて、抱き枕を抱えるかの如く抱きついてきた。
「なっ、ちょっ…」
「懐かしいな…覚えてる?子供の頃、一緒に寝てたの」
「いーから放せっ…」
「でも、途中から一緒に寝てくれなくなったね…」
弟の声のトーンが低くなった。
「他の奴と遊んでさ、疲れて俺になんて構う暇なくなっちゃったんだよね」
俺を抱き締める弟の腕に力がこもってきた。
昔を思い出して機嫌が悪くなっているようだ。
これ、マズくないか…?
「い、今はこうして一緒なんだしっ…昔のことはどうでもいいだろ」
慌てて弟にそう言う。
「も、もう寝よう…おやすみっ」
俺は顔を下む向け、目をつぶった。
「可愛い」
弟はそう言いながら頭を撫でてきた。
「兄さん、なんで震えてるんだろ。今日寒くないのに。」
自分でも気付かなかった。
知らない間に、体が微かに震えていた。
そんなに俺は弟が怖いのか。
普通に話すことはできるのに、心のどこかで弟に恐怖を感じているのだろうか。
情けなくなり、俺は更に強く目をつぶった。
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