小説:俺は弟が大嫌い。
24 side:智樹
俺は兄さんが大好き。
いつから好きなのか、と問われれば、産まれたときからとしか言い様がないだろう。
小さい頃は、いつも一緒にいてくれた。
なかなか帰ってこない母親。
なんでお母さんは帰ってこないの?と聞くと、俺がいるから大丈夫、と兄さんはいつも言ってくれた。
だから俺は思った。
お母さんなんていらない。兄さんだけいてくれればいいと。
でも、兄さんは小学校の3年くらいになってから、友達とよく出かけるようになった。
俺は兄さん以外の人間と遊ぶ気になんてなれないから、家で兄さんの帰りを待っていた。
しかし、遊び疲れて帰ってきた兄さんは俺とほとんど話すこともなく寝てしまう。
しかも、以前のように一緒に寝てくれず、一人で。
そんな状態が一年ほど続き、兄さんは小学4年生になった。
そして、母親が言った。
いい高校に入るために、塾に通えと。
散々放置していたくせに、何を言っているんだ?
文句の一つも言いたいものだったが、兄さんは通うと言ったので、俺も渋々承諾した。
勉強なんて特に好きでもないのに、どうして嬉々として通っているんだ?
そう思い、兄さんを普段より観察してみた。
兄さんは、良い点を取ったり、先生に褒められたことを母親に逐一報告していた。
…兄さんはあんな女に愛されたいの?
どうして?
俺は兄さんのあの言葉で、兄さん以外いらないって思うようになったよ。
でも、兄さんは違うの?
なんで俺以外の人間…母親や友達を欲しがるの?
そんなもの…いらないでしょ?
そんなに欲しがるというのなら、消してやる。
俺から兄さんを取る奴は一人残らず排除してやる。
兄さんが悪いんだよ?
俺をこんなふうにしたのは兄さんなんだから。
…だから責任とってね?
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