病気×平凡(リクエスト小説)
8
次の日、僕はまた病室を抜け出した。
昨日ゆきに会った場所にもう一度行くために。
「あっ、いた」
よかった、ゆきは昨日の同じ所にいた。
「ゆき」
近付いて、声をかける。
昨日看護婦が来てしまったのは、僕が大きな声をだしてしまったからかもしれない。
だから、できるだけ声を抑えて話しかけた。
ゆきは俺を一度見て、すぐに興味なさげに目をそらした。
「昨日の話の続きだけど…友達になってくれる?」
昨日は話の途中で僕が逃げてしまったから、再度尋ねる。
「…」
ゆきはゆっくりと無言で頷いた。
「本当?よかったぁ。よろしくな!」
握手をしようと、ゆきに手を差し出した。
が、ゆきは不思議そうに僕の手を見てるだけで、握手に応じてくれなかった。
このまま手を引っ込めるのは恥ずかしかったから、勝手にゆきの手を掴んだ。
雪みたいに冷たかった。
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