病気×平凡(リクエスト小説)
18
「ゆき…っ」
涙がポロポロと溢れる。
「なかないで」
ゆきが座り込んでいる僕のところまできて、しゃがんだ。
僕の頬に触れて、涙を拭ってくれた。
その行為に安堵した馬鹿な僕は、先程ゆきに対して感じた恐怖を忘れて抱きついた。
「ゆきっ…この病院、おかしいよ…っ!僕、怪我治ったのに…退院させてくれないの…っ」
「よう…」
みっともなく泣きじゃくる僕の背中をゆきが優しく撫でてくれた。
「院長の、息子って…誰…」
独り言を呟く僕を落ち着かせようとしてくれているのか、ゆきはうん、うんと相槌を打ってくれている。
「その人が、僕を退院できないようにしてるって…!」
「…うん
しってるよ」
…
「え…?」
ゆきの言葉に耳を疑った。
しってる…?雪が…なんで…?
顔を上げて、雪を見ると。
さっきと同じように、不気味で綺麗な笑顔を浮かべていた。
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