病気×平凡(リクエスト小説)
16
突然来なくなったお母さん、突然いなくなった佐野さん、僕に怯えているように見える看護婦さん、退院させてくれないお医者さん。
どう考えても、おかしい。
この病院はどうなっているんだ。
ゆきに聞いたところで、わからないに決まっている。
どうすることもできず、溜め息をついた。
気分転換に廊下を歩いていると、僕のところに新しく来るようになった看護婦さんと、もう一人の看護婦さんが話をしている。
ー何か、情報が得られるかもしれない。
淡い希望を抱いて物陰に隠れて盗み聞きをする。
「陽くん、だっけ…あの子、気の毒ね」
僕の、こと。
「ええ。話かけられても無視しかできなくて心が痛むわ」
「あなたも災難ね…佐野さんの二の舞にならないように気を付けてね」
「わかってるわ。…それにしても、院長の息子さんは何を考えているのかしら」
院長の息子…?
「怪我なんてとっくに完治している子を入院させ続けるなんて」
…え…?
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