腹黒可愛い系×平凡
7
階段を降りて、玄関に向かう途中でリビングのドアが開いた。
現れたのは留衣のお母さん。
「大きな声が聞こえたけど…大丈夫?喧嘩かしら?」
とても高校生の子供を産んでいるようには見えない美人なお母さんはオロオロしながら声をかけてきた。
「あ、大丈夫っすよ。大したことじゃないんで。てか、俺が悪いし」
本当は100%アイツが悪いと思いますけどね!!
「そんなこと言って…あの子がまた我儘でも言ったんでしょう?」
それ、正確です。
とは言えないので曖昧に笑っておく。
「根はいい子だと思うけれど…。あの子の我儘には私もいつも困ってるの。困ったことがあったらいつでも言ってね。」
性根腐りまくってますよ。
全く、こんな美人ママを困らせるなんて。
アイツは一体何様だ。
『息子は俺の彼女をいっつも奪い、現在進行形で俺を困らせております!』なんて死んでも言えないな。
冗談じゃなく倒れそうだ。
「俺、全然平気っすよ。俺ら友達だし、そんな気にしないでください。じゃ、俺帰るので。お邪魔しました」
友達、という言葉に偽りはない。
16年も一緒にいたんだ。
本気で憎めるわけがない。
だから、困ってるんだ。
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