小説:生徒会庶務の災難
16
これで俺以外の全員の紹介(?)が終わった。
このまま俺のことはスルーして…
「チヨ、隠れていないではやく自己紹介したらどうです?」
なんて無理だよね。
クソ、余計なこと言いやがって。
「チヨ!?って、そこに隠れてるやつか!!でてこいよ!!」
くっ、見つかった。
仕方がない…
「あー、俺はチヨじゃなくて千代な、せんだい。」
よろしくしたくないから、自己紹介でお約束のよろしくという言葉はつけない。
「っ!!お前、すっげーかっこいいなっ!!///下の名前何て言うんだ!?」
凄い勢いで顔にくいついたぞ。
顔で判断するなんて最低なんじゃねーの?と問いたい。
ああ、双子弟と書記を除く生徒会メンバーが憎そうに俺を見ている。
「せんだい。」
「下の名前だってば!!はやく教えろよっ!!イジワルするなんて最低だぞっ!!」
お前最低って言葉好きだな。
つーか、最低と言っておきながら超嬉しそう。
「翔太、こいつの名前は瑞季ですよ。まったく、チヨも名前くらい自分で」
「瑞季って言うのか!!俺のことは翔太って呼べよな!!よろしくな、瑞季!!」
「…」
あーあ、名前知られちゃった…
よろしくしたくないってさっき言ったじゃんよ。
心の中でだけどね(笑)
「テメェ、翔太が話しかけてんのに何無視してんだ?」
「翔太を無視するなんてぇ、さいて〜」
「やめろよお前ら!!瑞季、俺は全然気にしてないから!!照れてるだけだよな!!俺はちゃんと分かってるから!!」
全然わかってねーじゃん。
え、照れてる?どこが?
どんだけ都合のいい勘違いしてんだこいつ。
「どーでもいーけどさ…、そろそろ昼休み終わるよ?」
この話を打ちきりたくて別の話に持っていく。
実際、あと15分しかないしね。
俺の言葉で我にかえった生徒達は慌てて食事を再開する。
次移動だよヤベーッという声まで聞こえてきて、刺さるような視線がなくなりホッとする。
「チッ…確かにチヨの言う通りですね。2階に行きましょうか」
そうそう、生徒会と風紀の人間は食堂の2階で食べるって決まってるんだよな。
親衛隊に囲まれて飯を食うなんてとてもじゃないができないからね。
2階に行けば、ようやくうるさい転校生とはなれられ…
「では、翔太も行きましょう」
「おう!!俺オムライス食いてー!!」
てない!
何故だ。何故そんなめんどくさい真似を。
他の生徒会の連中は止めようともしない。
寧ろ、おー行こうぜーって感じだ。
あーもう、せっかく生徒達の関心をそらせたのに、また殺気立ってこっち見られてるよ。
「一般生徒は立ち入り禁止でしょ…忘れたの?」
俺が止めると、生徒会の連中が非難の言葉を浴びせてきた。
「うるさいですね、翔太は可愛いからそんなことどうでもいいでしょう!?まったく、どうしてお前はそうして翔太を傷つけるような」
「テメェは黙ってろ。いい気になってんじゃねーぞ?」
「禁止って言っても〜、俺らが許可すれば〜別にいーでしょ〜?黙ってなよ〜」
「千代、うるさい…」
「翔太に向かってなんてこと言うの!ひどーい!」
「…」
罵倒と言ったほうが正しいかも。
双子弟以外全員に睨まれる。
この短時間で随分と嫌われたようだ。
書記までそんなこと言うなんて予想外だな、別に悲しくもないけど。
なんか俺が転校生を傷つけたみたいになってるけど、俺はお前らに向かって言ったんだからな?
その辺勘違いするなよ。
もうメンドクセーな。好きにさせよう。
俺が黙ると、奴等は満足気な顔をしていて2階に向かって行った。
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