小説:生徒会庶務の災難 8 side:副会長 教室から飛び出し、少し離れた階段の辺りで立ち止まる。 「っ…」 なんでこんなに悲しいんだ? 自分でも信じられないくらいどんどん涙が流れていく。 別に私は仕事が嫌でサボっていたわけではない。 私に感心を示さないチヨに、必要としてもらいたかったんだ。 そして今日、思い切って聞いたんだ。 戻ってきて欲しいか、と。 私自身を必要としてくれなくてもいい。 せめて、副会長としての私だけでも必要な存在になりたかった。 なのに、返ってきた言葉は残酷なものだった。 飛び出したときに聞こえた翔太の言葉さえ殆ど耳に入らないくらいショックだった。 そして今、疑問に思っている。 私が本当に好きなのは誰なのか、と。 私がチヨに必要とされたいのは、悔しさから来るものだと思っていた。 完璧なチヨへの妬みだと。 私は翔太が好きなはずなのだから チヨが好きだなんてあり得ないと思っていた。 でも、私は翔太にい一挙一動にいちいち何かを感じたりしない。 可愛いとか、愛しいと思うことは勿論ある。 でも、チヨの時のように、泣くほど心を動かされることはない。 私が泣くことなど殆どないというのに。 私がこんなに動揺してしまうのは、チヨのことが… 「あれ…?」 私の思考を遮り、誰かの声が聞こえてきた。 振り返ると、書記がいた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |