小説:生徒会庶務の災難 7 『また騒ぎだしたよ…うっせぇなぁ』 『仕事してる千代様がなんで怒られなきゃなんねーんだ?』 生徒会役員が仕事をしていないのは、既に周知の事実らしい。 皆転校生とその他を睨んでいろいろ言っている。 「な、なんだよお前らっ!!なんか言いたいことあるならハッキリ言えよっ!!」 「翔太、もういいですから」 慌てて副会長が転校生を止める。 さすがに気が咎めたらしい。 転校生を落ち着かせたあと、副会長が俺に近寄ってきた。 俺のネクタイを掴み、強制的に顔を近付けさせられる。 どうやら周りに聞こえないように喋りたいようだ。 「強がらないでください。この前倒れたでしょう。本当は私達がいなくて困っていますよね?」 「…」 この人は何が言いたいんだ? 意図がわからない。 少し焦っているように見える。 「私達に、戻ってきて欲しいですよね?」 はぁ、なるほどね。 俺に戻ってきて欲しいと言わせて、勝ったような気分になりたいのか。 仕事に支障がないと言われて悔しいのか、優越感に浸りたいのか知らないが、無駄にプライドが高いな。 「何度も言わせるな。あんたがいなくたって生徒会はしっかりと機能している。」 そう言うと、副会長が俯いて固まってしまった。 「…!?」 顔を覗き込んで、吃驚した。 副会長が泣きそうになっている。 俺も固まってしまった。 「あっ!!海人!!どこ行くんだ!?」 副会長が教室から去り、転校生が驚きの声を上げる。 そっちを見ると、鈴木が鼻血をたらしながら親指を立てて俺を見ていた。 俺は驚きのあまり、そんな鈴木に構っている余裕もなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |